トランプ大統領が終始満面の笑みを浮かべていたことの意味

 トランプ大統領と手をつないで壇上から降り、腕を絡めてエスコートされる高市総理の姿もSNSで話題になりました。

 野党の国会議員からは「この身体接触の濃さは異常」という批判も上がっています。

 ただ外交儀礼の観点から見れば、エスコートは女性を尊重するマナーで、トランプ大統領が示したそれをどう受け止め、どう返すかがポイントでした。

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 横須賀基地で大勢の米兵に見えるように手を高く掲げ、何度もジャンプする姿に対しても、「ロックだ!」という称賛と同時に、「はしゃいでいる」と揶揄する声があがった。

首相官邸Xより

 しかしこれも、それが誰に向けて発せられたメッセージか、を読み解けばおのずと評価は定まってきます。

 今回高市陣営が何を置いても優先したのはアメリカ、すなわちトランプ大統領の日本に対する信頼と好感度を高め、交渉をより有利に展開することだったでしょう。

 そしてトランプ大統領が終始満面の笑みを浮かべていたこと、常に笑顔で高市総理とアイコンタクトを行いながら何度も軽くうなずき合っていたリズムを見れば、その狙いは達成されていたように見えます。

 トランプ大統領が安倍晋三元首相が好んだ黄色のネクタイを選び、普段は留めないスーツのボタンを天皇陛下の前では掛けるなど、実はアメリカ側も来日にあたって非言語的戦略を練ってきたことが伝わる場面がいくつもありました。

 高市首相のファッションのチョイス、そして振舞いも、ターゲットを絞り込んだうえで日本という国の“見え方”を戦略的に設計したものでした。

 いまや装いと振舞いは、外交の印象操作を超えて、信頼を築き衝突を防ぐ「非言語の安全保障」と言ってもいいかもしれません。

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