猪木の母から「寛至をよろしくお願いします」
政代夫人 昔は、ブラジルから猪木さんのお母さんもけっこう日本に来られていて、猪木さんもオフになったらブラジルに帰ってたじゃないですか。それで新日本の事務所の下に喫茶店があって、そこで猪木さんのお母さんと一緒になったことがあったんですけど、「寛至(編集部注:アントニオ猪木の本名)をよろしくお願いします」って言われてね。こっちこそお世話になりっぱなしやのに。
栗栖 お前はただ声をかけられただけだろ? 俺は小遣いをもらったよ。
政代夫人 あっ、そうなの?(笑)。
栗栖 お母さんからもらったよ。「いやいやいや……」って断ろうとしたんだけど、俺がクルマを出してる時だったから、どうしても断れなかった(笑)。
――文字どおりの“お車代”を猪木さんのお母さんからもらってたんですね(笑)。猪木さんの歴代付き人はたくさんいますけど、付き人の奥さん・彼女も含めた親しい関係ってなかなかないですよね。
栗栖 俺はなんか知らないけどこういうふうになったからね。
政代夫人 私は当時、行ける時は新日本の地方の興行にも行ってたんですけど、高松(香川県)の時は猪木さんにお小遣いもらいましたね(笑)。
栗栖 当時はまだ結婚してなかったけど、ウチの嫁さんが来ると猪木さんも気ぃつかってくれるのよ。あれは佐渡島だったかな。猪木さんが「おい、外でメシ食ってこい」って小遣いくれたのよ。でも、そこの旅館の晩めしはいい魚が出て料理がうまそうでさ。俺はみんなと一緒にとりあえず旅館のメシを食ってたら、猪木さんが来て「おい、お前、何をやってるんだ!」って怒られたことがあるよ(笑)。
――せっかく気をつかって、付き人が彼女と二人でご飯食べに行けるように小遣いまでやったのに、なんでそこにいるのかと(笑)。
栗栖 でも、いいおかずがあるじゃん。だから俺はまずそれを食ってから行こうと思ったんだけどね(笑)。
結婚式場の手配までしてくれた
――お二人の猪木さんとの付き合いは、けっこう早い段階からだったんですか?
栗栖 けっこう早かったな。
政代夫人 大阪の試合のあとは必ず電話をもらって、私もリーガロイヤル(ホテル)でご飯を一緒に食べてましたね。
栗栖 いい思い出だよね。他の人はそんなことしてないでしょ。
政代夫人 猪木さんは大阪の時、リーガロイヤルが定宿だったんですよ。それで私たちが結婚式を挙げる時、結婚式の会場って半年先とかじゃないと取れなかったんですけど、猪木さんがリーガロイヤルを押さえてくれたんです。3月3日からシリーズが始まるのに「3月1日に結婚式をせえ」って感じで(笑)。
――猪木さんパワーで会場を押さえて、オフの間にやっちまえと(笑)。でも、付き人の結婚式場の手配までしてくれる社長って、なかなかいないですよね。
栗栖 猪木さんって、そういう人なのよ。感謝だね。
――猪木さんの運転手をされていた頃、奥様の倍賞美津子さんにもお会いすることはけっこうあったんですか?