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美間と曽根のトレードで思い出した 岸本秀樹と木村昇吾のこと

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/03
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移籍先で花咲く可能性も

 岸本投手はその後5年間カープに在籍、最初の年は敗戦処理的リリーフが多かったものの、次第に勝ちパターンの中継ぎやローテーション谷間の先発など、八面六臂の活躍でブラウン−野村謙二郎監督時代のカープ投手陣を支えました。岸本投手の横浜ベイスターズ在籍時には3年間で登板試合数24でしたが、カープ移籍後は実働4年で157試合に登板しました。カープに来て花咲いたプロ野球人生と言えるでしょう。

岸本秀樹 ©赤井孝美

 岸本投手とともにベイスターズからカープに来た木村昇吾内野手も印象深い選手です。ブラウン監督時代は内野全ポジションを守れる守備要員、あるいは俊足を活かした代走要員として重宝され、さらに野村監督時代になってからは打撃開眼、二塁の東出輝裕選手、遊撃の梵英心選手らが負傷すると、一時ポジションを奪うほどの活躍を見せました。俊敏な内野手でありながら183センチと長身、塁に出れば果敢に次の塁を狙う姿は、なんとなく安部友裕選手に似ています。その後木村昇吾選手はFA宣言するものの獲得球団がなく、FA後テスト入団という異例のプロセスでライオンズに入団しました。ライオンズ時代の木村昇吾選手は残念ながら怪我に泣かされて2017年オフに自由契約となりました。そしてなんとクリケット選手に転向!

 日本ではまだまだマイナー競技のクリケットですが、世界では野球の5倍にもなる1億5000万人の競技人口を誇る人気スポーツだそうです。木村昇吾選手がNPB仕込みの身体能力の高さを発揮して日本クリケット界に革命を巻き起こすかも知れませんね。

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 交換トレードは出ていく選手への惜別の悲しさとともに、新加入選手への期待と夢があります。FA獲得に否定的なカープだからこそ、もう少し積極的に交換トレードを検討しても良い気がします。美間選手のようにカープでは出場機会に恵まれない選手が移籍先で花咲く可能性もあります。2006年にライオンズに交換トレードで移籍した福地寿樹選手は、移籍一年目からカープ在籍8年間の打席数(367)に匹敵する333打席に立ち、打率.289、盗塁25を記録して見事外野のポジションを獲得、スワローズ移籍後には盗塁王に輝きました。トレードが契機になった大躍進です。交換トレードという一見ネガティブに思えることが飛躍のきっかけにもなる、これもプロ野球の醍醐味であり、夢の一つですね。

 ホークスの美間選手、そしてカープに加わってくれた曽根選手の大躍進を期待しましょう。

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※美間選手の移籍先と木村昇吾選手のお名前を一部誤って記しておりました。お詫びして訂正いたします(2018年8月3日12:20)。

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