ソロキャン女子、新興宗教にハマる大学生役も…

 末っ子、妹キャラは本田の得意とするところで、ドラマ『ふたりソロキャンプ』(2025年/TOKYO MX)では、森崎ウィン演じる主人公のソロキャンパーを“師匠”と仰ぎ勝手に弟子入りする超初心者キャンパーの短大生役を演じていた。怖いもの知らずで相手との間に一切壁を作らないオープンマインドさが魅力の役どころをここでも見せた。

 またフィギュアスケーターとしても活躍する本田ゆえに説得力を持って演じられていたのが、主演を務めた映画『カーリングの神様』(2024年)だろう。女子高生カーリングチームのまとめ役を担った本田だが、真っ直ぐな瞳に滲む勝ち気さや諦めない姿勢が彼女に元来備わっているスポーツマンシップと掛け合わさり、観る者の気持ちを熱くさせた。

 一方で、2025年に公開された映画『愛されなくても別に』では、これまでのイメージを覆すキャラクターを演じていた。母親の過干渉から逃げるように新興宗教にのめり込む大学生役で、見るからに恵まれていそうなのにどこか不幸せで苦しそうな、やり場のない鬱憤を抱えた役どころを演じ切っていた。

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ドラマ『すべての恋が終わるとしても』公式Instagramより

 いずれの役柄においても、子役時代の天真爛漫さに加え、大人になった今だからこそ表現できる感情の機微や内面の揺らぎを繊細に演じ分ける本田の演技力の進化が見て取れる。かつての“可愛らしい妹”から、人間関係に悩み葛藤する一人の女性を説得力を持って体現できる女優へと、確実に階段を上っているのだ。

『すべての恋が終わるとしても』第4話では、藤原扮する颯と小学生のときに両想いだったことを確認し合えた本田演じる莉津だが、そこからもう一歩踏み込んだ関係性になれるのだろうか。妹ポジションから異性として意識されようと試みる莉津の葛藤や歯痒さをリアルな温度感で届けてくれる本田の姿を追い続けたい。

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