《本件は非常に特殊かつ複雑な事案であるため、本件に携わる皆様は、なぜこのような処理を行ったのか、なぜこのような状況に陥ったのか疑問をお持ちになると思います》
「陥った」という言い方が、何かまずいことになったことを暗示している。続けて、
《当然のことながら、これは外部説明用に作成した想定問答ではありません。行政文書ではなく、あくまでも内部担当者限定の参考資料であることにご注意願います》
ごく限られた内輪の職員しか見ない“極秘資料”だけに、外部には決して明かさなかった財務省の“不都合な真実”がはっきり記されている。それはズバリ、政治への忖度だ。
《貸付料が減額できる可能性について相談》安倍昭恵総理夫人側から働きかけ
《取得要望時から現在までに国会議員関係者6名(1名は国土交通省副大臣、1名は安倍首相夫人)、弁護士3名(うち1名は■■の配偶者)が関わっている事案である》
森友事案が“政治案件”であることを明示している。森友学園は幼稚園児に教育勅語を暗唱させることで知られ、教育方針に共鳴する政界関係者は多かった。
《鴻池祥肇参議院議員(秘書から当局) 学園が貸付けを希望しているため、相談に乗ってやってほしい》
《平沼赳夫衆議院議員(秘書から本省業務課) 学園から貸付料が高額であると聞いているが、何とかならないか》
《鳩山邦夫衆議院議員(秘書から国会連絡室を通じて当局) 学園から貸付料が高額であると聞いているが、何とかならないか》
《柳本卓治衆議院議員(秘書から当局) 学園が貸付けの件で相談があるため局長と会いたいとの要望。→管財部長が対応》
《国土交通省 北川〈イッセイ〉副大臣(理事長〈森友学園の籠池泰典理事長〉が上京して副大臣秘書に面談) 有益費(土壌改良費用)の早期支払いを要請》
そして6人目の“国会議員関係者”として登場するのは、
《安倍〈昭恵〉総理夫人(夫人付の谷〈査恵子〉氏から本省審理室) 貸付料が減額できる可能性について相談》
政界からの働きかけがこれほどあからさまに記された文書も珍しい。ほぼすべてが貸付料の減額、つまり金銭上の優遇を要望している。


