近畿財務局のナンバー2だった山岸晃総務部長が、学園との土地取引を「必ず売却する必要がある案件」だとして、確認書を作るよう指示している。なぜ「必ず売却」しなければならないのか? 背景として考えられるのは半年ほど前の2014年4月、安倍昭恵さんと森友学園の籠池理事長夫妻の3人が一緒に国有地前で撮ったスリーショットだ。俊夫さんが前任者から受け取った別の引継書に記載がある。(これも6月に開示)

《打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との〈籠池理事長の〉発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)》

「いい土地ですから」という安倍昭恵夫人の発言も(下線筆者)
問題の3ショット

 この直後から財務本省が乗り出して近畿財務局と協議を重ねた末、「国有地の取得に協力する」と森友学園に伝えたことが引継書に記されている。

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 昭恵さんはその後、小学校の名誉校長となる。森友学園と首相の妻の密接な関係が“厚遇”につながったことが浮き彫りになった。

地中深くのゴミなど確認されていなかった

 国有地の売買契約を取り仕切り「必ず売却」という指示を実現したのは、近畿財務局の池田靖統括国有財産管理官だ。交渉中の2016年4月1日、森友学園の小学校について学園側の工事業者らに資料を送るよう求めたメールの冒頭にこんな一文を書いている(今年4月開示の文書)。

《瑞穂の國記念小學院〈校名変更〉開校に向けご協力いただきありがとうございます》

 まるで森友学園の一員のような文面だ。その池田統括が、問題の国有地で地中深くからゴミが見つかったとして撤去費用を値引きする契約をまとめた。8億円余という撤去費用は土地を管理する大阪航空局が算定したが、池田統括は金額が増えるよう促していた。事件発覚後の2017年3月、省内で行われた聞き取り調査で本人が証言している。

《当初の7億弱の積算が提出されたとき、不動産を扱う者の感で「これなら売り払いは不調になるな」的な発言を航空局にしたように思う》(10月開示の文書)

 結果として撤去額は8億円に増える。森友学園に国有地を売り払うのが財務省の既定方針だから、学園が買える価格にするため、地中9.9メートルの深さまでゴミがあることにして値引きしたという筋書きが浮かぶ。