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「かっこいいしか取り柄がない男なんです」

棚橋 筋トレ始めたのは、ぼくも中学生からですね。ブルワーカーをずーっとやってました。ぼくは反り腰といって、背中が反ってお腹が出て見えるのがコンプレックスだったんで腹筋中心に鍛えて、基礎は中学校のときにできてました。それでも大学入学当時は65キロしかなかったんですけど。

博士 65キロって普通の人の体重ですよね。

棚橋 はい。スタイリッシュなモデル体型だったんですけど。

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博士 ハハッ、常に自己肯定感がすごいですよね。ビフォーアフターのビフォーの段階からもう自己肯定してますもんね。

ユリオカ それそれ。デビュー当時、棚橋選手とよく電話で話してたんですけど、「ユリオカさん、キャリアもアマレスの実績もないのに、こんなに会社が推してくれるのは、かっこいいからなんです。ぼくなんか、かっこいいしか取り柄がない男なんですよ」って、自慢なのか謙遜なんだか、よくわからないという。そのへんは全然変わってない。

棚橋 大学時代は1限と3限の授業を取って、2限の時間帯はトレーニングルームという感じで、2時間おきにプロテインや何かを食べて。親の仕送りは2週間ぐらいで食べつくしてましたね。僕の筋肉は基本、仕送りでできてます。

博士 キメたようなこと言ったけど、ただのすねかじりだって。かっこいい自分がさらに筋肉の鎧を身につけることによって、よりかっこよくなるっていう、うぬぼれ鏡を見続けたわけですね。

棚橋 どんどん体が大きくなってくのがうれしくて、最終的に90キロまで。冬以外は金髪にナイキの蛍光タンクトップでキャンパスを歩いてました。

ユリオカ イヤだよ、そんな人は。

棚橋選手のサイン入りグッズをかけたじゃんけん大会も行われた ©文藝春秋

「新日派? 全日派?」

博士 ところでプロレスファンにとって「猫派? 犬派?」と同じぐらい大事なことに、「新日派? 全日派?」というのがありましたが、棚橋選手は?

棚橋 両方です。小橋(建太)さんと武藤(敬司)さんが僕の二大アイドル。ふたりともオレンジ色のコスチュームで、フィニッシュ技は、武藤さんのは距離を飛び、小橋さんのは高く飛ぶムーンサルトプレス。あと闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)では誰が強いだとか語り合ってましたね。

博士 三銃士の誰が好きというのも絶対なる論争の的ですよね。ユリオカはどっち派?

ユリオカ 藤波派です。

博士 じゃ、新日派じゃん。

ユリオカ もちろん猪木さんも嫌いじゃないけど、最初から藤波さんなんですよね。もうちょっと上の世代の方は大猪木信者だと思うんですけど。

博士 猪木対ビル・ロビンソン(※1975年12月11日、蔵前国技館)を見てる世代かどうかみたいな感じね。全日本は最強タッグ戦、ザ・ファンクス対ブッチャー、ザ・シーク戦なんかとにかくおもしろかった。シークがフォークでテリーを血だるまにしてさ。「これ以上放送はできません」なんて時代。

ユリオカ 新日のほうがライティング的にも明るいイメージだったかもしれないですね。あと、ショートタイツは新日本のほうが小さかった。全日本はヘソを隠す。棚橋選手もショートタイツの時期ありましたよね。『パパはわるものチャンピオン』(※棚橋選手主演映画・9月21日全国ロードショー)のゴキブリマスクもショートタイツですし。

『パパはわるものチャンピオン』で映画初主演を演じる棚橋選手(配給:ショウゲート) ©2018『パパはわるものチャンピオン』製作委員会