10月4日に投開票が行われた自民党総裁選に出馬し、高市早苗内閣の総務大臣に就任した林芳正氏(64)。そんな林氏をめぐり、昨年の衆院選で公選法違反の疑いがあると報じた「週刊文春」の記事「林芳正総務相の『運動員買収』を告発する」が注目を集めている。

 11月7日の閣議後会見で林氏は「公職選挙法上問題のない支出だ」と説明したが、裏金問題の記憶が色濃く残るだけに厳しい声が続いている。

林芳正総務大臣 ©時事通信社

 本記事を担当した編集部のK記者が、「週刊文春 電子版」11月9日配信の解説番組「文春記者トーク」に出演。取材の舞台裏を明かした。

ADVERTISEMENT

「ポスター維持管理」という見慣れない名目が

「総裁選のときから林氏の取材を担当することになり、選挙運動費用収支報告書などの資料を集めていました。すると収支報告書に『ポスター貼り付け3日間』や『ポスター監視2日間』といった見慣れない名目が並んでいたのです。これは何だろうということで、地元(山口)に行って聞き始めたというのがきっかけでした」(K記者)

 K記者によれば、高市首相や小泉進次郎防衛大臣などの収支報告書を調べても、ウグイス嬢など法定を除く労務費の支払いはゼロ。一方、林陣営は計269人(業者1社含む)に計約316万円の労務費を支払っていたという。

 中でも123人(重複含む)に対して支払われているのが「ポスター監視」などの名目で支払われた「ポスター維持管理費」だった。

林氏の選挙支出の全体金額

「ポスターの貼り付け作業は公示日に一斉に行われることが多いんです。そのため、『ポスター貼り付け1日間』といった名目であれば理解しやすい。

 ですが、『ポスター貼り付けを何日間にわけて作業した』『ポスターを維持管理した』という名目での支出となると違和感が出てきます。少なくとも私は、そのような事例を見たことがありませんでした」(K記者)