国家間の首脳会談では、しばしば、どちらの国が勝者であるかが議論される。
8月に行われた米露首脳会談では、米国ではプーチン氏の勝利という声があがった。トランプ氏はレッドカーペットまで敷いてプーチン氏をセレブ扱いするような歓待までしたものの、プーチン氏からは「ウクライナ戦争の根本原因が解決されなければ停戦できない」という停戦に否定的な回答を引き出すことしかできなかった。
では、トランプ氏と高市早苗氏による初の日米首脳会談はどうか。
勝者がいるとすれば、それは、間違いなく高市氏だろう。トランプ氏の言葉が、表情が、態度がそれを如実に物語っている。
トランプ氏を手玉に取った高市外交
高市氏は敬愛する安倍晋三元首相から学んだ“おもてなし外交”を尽くして、語弊はあるが、したたかにもトランプ氏を手玉に取ることができたと思う。
トランプ氏は、高市氏に初めて会ったときから強い印象を受けたようだった。
「とても強い握手だ」
とトランプ氏は高市氏に告げたと米メディアが報じている。筆者は米国で多くの人物に取材してきたが、確かに、握手には強弱があると感じていた。強く手を握った人物のことは心に強く刻まれた。熱意も伝わってきた。
日米首脳会談に先駆け、トランプ氏と高市氏は一緒に米大リーグのワールドシリーズを観た。その様子を映し出している写真の中で、両氏は早くも打ち解けて歓談している。高市氏は、そうすることで初対面で生じる緊張感を解こうとしたのだろう。
米国ではインタビュアーは、天気や旅の道中のことなど日常会話をして、インタビューされる側の緊張をほぐしてから本題に入るが、高市氏の対応はまさにその手法を彷彿とさせた。
高市氏の手法は奏功した。本題である日米首脳会談で、トランプ氏から絶大なる支援の言葉を引き出すことに成功している。
「質問や疑問、要望、お願いなどがあれば、どんなことでも、いつでも言ってほしい。日本を助けるために私ができることがあれば、どんなことにも応じる。私たちは最強レベルの同盟国だ」
無条件で日本を助ける。トランプ氏はそう言わんばかりだった。
米国のメディアもこのトランプ氏の言葉に驚いたようだ。

