日米首脳会談でトランプ米大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を伝えたとされる高市早苗首相。11月4日の衆院本会議では、推薦の事実について「お答えは差し控える」と述べ、答弁を避けた。
高市首相とトランプ大統領の関係について、アメリカではどのように見られているのか? ニューヨーク在住のライター・堂本かおる氏が寄稿した。(全2回の1回目/続きを読む)
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ドナルド・トランプ米大統領は長年にわたって「私はノーベル平和賞にふさわしい」と繰り返してきた。しかし今年もまた受賞はならず、あからさまな苛立ちを表していた。
ホワイトハウス報道官のキャロライン・レヴィット氏が、トランプ大統領の訪日中に「日本の首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦した」と記者団に語り、この件を米国の各メディアも報じた。だが、推薦および高市首相自身に関する報道のトーンはさまざまだった。
高市首相による「ノーベル平和賞に推薦」報道
CNNは『ホワイトハウス、高市早苗首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したと発表』、ロイターは『トランプ氏をノーベル平和賞候補に、ホワイトハウスが発表』などと簡潔に報じた。
保守系タブロイド紙のニューヨーク・ポストは、高市首相以外の「多くの世界のリーダー」もすでにトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦しているとして、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を筆頭にカンボジアのフン・マネット首相、パキスタンのシャバーズ・シャリフ首相などの名を挙げた。
さまざまなもてなしの一つ?
ニューズウィーク誌は「高市氏は政治家としてのキャリアを通じてトランプ大統領の外交政策と国家主義的なレトリックを称賛し、個人的な信頼関係を築いてきた」が、「高市氏の推薦がノーベル委員会に影響を与えるかは今後の動向次第」とした。
他方、ワシントン・ポスト紙は『日本の新リーダー、ゴールド・ゴルフ・レアアース取引でトランプ氏を魅了しようと試みる』、ニューヨーク・タイムズ紙は『トランプ大統領、野球と米国産牛肉で日本のリーダーと親交を深める』と、どちらも見出しには「ノーベル平和賞」を入れず、推薦は高市首相からトランプ大統領へのさまざまなもてなしの一つと位置付けている。


