高市氏が仕掛けた“お色気攻勢”

 今回の日米首脳会談について、ワシントン・ポストがこの言葉に言及し、「高市早苗氏は日本初の女性首相になって1週間も経たないうちに、ゴルフ、金、取引、ノーベル平和賞といったトランプ大統領の弱点を突いた『お色気攻勢』で、アジアにおいてトランプ大統領の第一の同盟者となる態勢を整えた」と述べている。

 そうした意味では、高市氏は腕を組んだり手を繋いだりすることでトランプ氏に「お色気攻勢」をかけたと言えるのかもしれない。

 しかし、翻せば、高市氏の「対応」は、勉強家の同氏がトランプ氏が何を好むかについてもよく研究していることを示していると思う。トランプ氏はゴルフや金やノーベル平和賞を好んでいるが、他にも好んでいることがある。それはトランプ氏自身がよくするボディ・タッチだ。

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 同氏は安倍元首相と会談した際も19秒間にわたる長い握手を交わしていた。8月の米露首脳会談の時も、米メディアからは「トランプ氏はプーチン氏にやたら触れている」との声があがっていた。

 トランプ氏はまた中国の習近平氏についても「私は習近平が好きだ。尊敬している」などと口にしている。これらはみなトランプ氏による「お色気攻勢」だ。

2019年、安倍首相(当時)と握手を交わすトランプ大統領 ©︎時事通信社

 国家間の関係は指導者間の関係にかかっていると考えているトランプ氏は、敵対国のリーダーであっても、口八丁手八丁で自分の方から積極的に好意を示し、個人的な関係を構築しようとしている。そんなトランプ氏の対応から、高市氏は学びを得たのではないか。

 誰かに好きになってほしかったら、まず、自分の方から好きになることだ。そんな考え方をトランプ氏から学び、来日したトランプ氏が自分のことを好きになるようボディ・タッチに勤しんだのではないか。

「よく笑う」と批判されている高市氏のスマイルも、トランプ氏に対する“武器”になったのではないかと思う。一般的に、アジア系の人々は、米国ではおとなしく、従順といった見方がされている。