「なんで自分は他のバンドマンみたいに音楽だけに集中できないんだろう」と泣いた日も
——米農家をやめたい、と思ったことはありますか?
魅影 跡を継いで3年目の頃、メンタルが弱って「なんで自分は他のバンドマンみたいに音楽だけに集中できないんだろう」って1人で泣いていた時期はありました。でもなぜか、やめたいとは思わなかったんですね。
ビジュアル系っぽくないかもしれないですけど、割と働くのは好きなんですよ。スーパーとかリサイクルショップ、工場のバイトも好きだったし、美容院もきつかったけど楽しかったし。
——魅影さんにとっては農業も好きなことですか?
魅影 そうですね。収穫のときは達成感があるし、買ってくれた人が喜んでくれるのも嬉しいです。あと、この間「うちのお米って美味しいんだな」って改めて思ったんですよ。米農家って新米は売り物だから、実は普段は古いものを食べてるんですけど、友達が稲刈りの手伝いに来てくれた時に取れ立てのお米を炊いたら、美味しくてびっくりしました。改めて作って良かったと思いましたね。
——「好きなことをやって生きろ」という言葉が生きているんですね。
魅影 お父さんのお墓参りに行くときも、心の中で「今も好きなことやらせてもらってるよ。応援してね」って話してます。お母さんも、一度ワンマンライブに招待したら100人くらいお客さんが来てくれてるのを見て「ちゃんとやってるんだね」と認めてくれるようになりました。音楽だけで生活するにはまだまだですけど、「こんなに応援してくれる人がいるんだ!」と驚いたみたいで。
それからは応援してくれるようになって、コロナの時期にライブができなくてバンドをやめて就職するかお母さんに相談したら「ここまでやっちゃったなら、続けなさい!」と逆に背中を押されました。
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