三菱自動車は11月5日、2025年4〜9月期の連結決算で、最終的な収支を示す純損益が92億円の赤字に転落したと発表した。米トランプ政権の高関税で営業利益が277億円押し下げられ、主力の東南アジアや米国での販売減少も響いた。世界販売台数は実に6%減となった。

「27年半ばにタイの一部工場の生産を休止することも発表。かつては『ASEANに強い三菱』と言われていたが、今は昔。中国勢に押されて苦戦を強いられている」(自動車業界関係者)

苦戦を強いられている三菱自動車(同社HPより)

 同社の加藤隆雄社長兼CEO(63)は会見で、米関税や中国勢の台頭に触れ、「依然として厳しい競争環境は続くと予想される」と、沈鬱な表情を浮かべた。

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 三菱商事出⾝の故・益⼦修前会長から、プロパーの加藤氏にCEOが交代したのは19年6月。加藤氏はインドネシア合弁会社社長を務めていたが、本社役員の経験がない異例の大抜擢だった。益子氏が会長を退任した20年からは名実ともに経営トップとして、構造改革の指揮を執ってきた。

京大工学部出身の加藤社長 ©︎時事通信社

「CEO就任から6年が経過したが、本業の立て直しが進んでおらず、昨年から業績の下方修正を繰り返しています。加藤社⻑への社内外での不信感が高まっている」(同社関係者)

 さらに昨年末から動いていた日産、ホンダとの経営統合も破談に。そして今回の赤字転落を受け、社内で囁かれ始めているのが、加藤社長の早期交代論だ。

この続きでは、早期交代論が浮上した理由、次期社長候補として挙げられている人物の名前、経営統合の破談を受けて三菱自動車が進む道について解説している》

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