ハンドサインは警察にも知ってほしい
ハンドサインの重要性について、塚原さんは自身の体験を交えて説明する。
「虐待を受けている子がいますっていう通報が入ってきて、警察が家に行きます。でも、子どもは親が目の前にいると『助けてください』と口に出して言えないんです。後の仕返しが怖くて。お前のせいで警察が来ただろう、というようになってしまうので」
そんな状況で、子どもが「親の後ろでハンドサインができたらな、と思うんです。それを警察の方が見れば、『助けて』という意味だと伝われば引き離すことができる」。
ジャーナリスト・秋山千佳さんが「これを知っているかどうかで、その子を救えるかどうかが変わるわけですね」と確認すると、塚原さんは「変わります」と即答した。
ヘルプカードをデパートやスーパーに
ハンドサインと併せて、塚原さんが考案したのが「ヘルプカード」だ。当初は国からの配布を想定していたが、現在はより現実的な配布方法を模索している。
「今考えているのがデパートやスーパーのお手洗いに置いてもらえないか、ということです。親がいると、どうしても捨てられてしまうんです。カードの存在を見てしまうと。外部とコンタクトを取ることを、加害者側はすごく嫌がるので。それをお手洗いのような場所から助けを求めることにつなげられればと思って」
加害者の監視下にある子どもたちが、どのような環境であれば助けを求められるのか。その現実を踏まえた具体的な支援策の提案だ。
「シェルターを作りたい」
さらに塚原さんは将来の目標として「シェルターを作りたい」と語る。
「子どものです。被害者の子たちが助けを求めて、ここに行けば大丈夫というシェルターを作ってあげたいんです」
ハンドサインという小さな動きから始まった活動は、子どもたちの命を救う大きなセーフティネット構築へと発展している。一人でも多くの人がこのサインを知ることが、今この瞬間も助けを求めている子どもたちの希望となる。
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