2023年11月、文藝春秋電子版に掲載された性被害の実名告発記事は、わずか2日間で1000万回を超える閲覧数を記録した。
その告発者である塚原たえさんが、記事を書籍化した『沈黙を破る「男子の性被害」の告発者たち』(文藝春秋)の発売を機にあらためて語ったのは、29歳で自ら命を絶った弟への思いだった。
ジャーナリストの秋山千佳さんがまとめたこの書籍には、塚原さん自身と弟が実の父親から受けた壮絶な虐待の実態が詳細に記されている。(全2回の2回目/最初から読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2025年8月3日配信)
【父から性暴力を受けた女性の告発】9歳から被害に...「笑うことが防衛本能だった」|「記事が出た日は『始まりの日』だった」|笑って傍観していた母親への複雑な思い【塚原たえ、秋山千佳】
男児も性被害に遭うという事実
「これまでは男児が性被害に遭う、ということがタブー視されたというか、あまり配慮されない時代だったと思います。ですが、この書籍が出版されたことで、男児も家庭やあらゆる環境で性被害・性虐待に遭うということを、やっと皆さんにもお伝えすることができた。
それまでは男児の性被害について、思ってもみなかったという方たちからお声がけいただくことが多くなりました」
塚原さんはそう語りながら、7月に出版された書籍への反響を振り返った。
