サイバーエージェントは、藤田晋社長(52)が12月12日の定時株主総会及び株主総会後に開催される取締役会をもって退任し、会長に就任する人事を発表した。後任の社長は山内隆裕氏。社長交代は1998年の創業以来、初めてになる。

サイバーエージェントの藤田晋社長 ©文藝春秋

2022年に16名の後継者候補を選抜

 藤田氏はサイバーエージェントの創業者で、ABEMA、インターネット広告、ゲームなどを中心に同社を売上高8000億円超の企業に育て上げた。最近では、馬主としてもフォーエバーヤングが世界最高のレース・BC(ブリーダーズカップ)クラシックを制覇。大きな注目を集めたばかりだ(「週刊文春」の連載「リーチ・ツモ・ドラ1」では、BCクラシック制覇の舞台裏などについて寄稿している)。

BCクラシックを制覇したフォーエバーヤング ©時事通信社

 そんな藤田氏は社長交代を前に、自身のビジネス哲学などを1冊にまとめた『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』(文藝春秋)を11月19日に刊行する。そこでは、引継ぎ研修の中身や社長に必要な資質についても詳しく綴っている。もともと2022年に社内で社長交代を宣言し、16名の後継者候補を選抜。時間をかけて研修を重ねてきた。この間、彼らの成長は目覚ましいものだったという。

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11月19日発売の新刊『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』(文藝春秋)

〈意思決定を間違えていれば全てが水の泡だ〉

 藤田氏は『勝負眼』で、社長の仕事や条件について以下のように記している。

〈社長の仕事というのは他人に分かりづらいようで、若手社員からはよく「社長って、普段なんの仕事してるんですか?」と質問される。私が麻雀や競馬やサッカーなどで仕事をしてないように見えるのかも知れないけど、会社というのは生かすも殺すもトップの「意思決定」次第だ。優秀な社員たちがどんなに一生懸命働いたとしても、トップがアホだとどうしようもない。意思決定を間違えていれば全てが水の泡だ。タイミングを逃したらダメ、誰かに騙されたらダメ、情報に踊らされてもダメ、シンプルにセンスがない人もいる。

 

 しかも、その意思決定が正しかったかどうかがすぐには分からないから厄介だ。間違っていても、短期的には耳あたりの良い言葉で誤魔化すこともできる。しかし、長い年月では必ず厳しい現実となって目の前に現れるのだ。〉

麻雀も財界随一の強さを誇る藤田氏 ©文藝春秋

 この「厳しい現実」と向き合える人物として後継社長に選ばれたのが、山内氏だった。

 サイバーエージェントは今後、藤田会長、山内社長体制で、更なる飛躍を目指していくという。

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 藤田氏が自ら執筆した新刊『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』は現在、予約受付中。“渾身の13万字”は話題沸騰で発売前重版が決定しています。

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