「こうしたケースの保護観察は1年くらいで解除になると言われていましたが、3年に延びたことで保護観察や心情等聴取・伝達などは丁寧にしてもらえました」(サトルくんの母親)
サトルくんの母親がAに送った最初の手紙には、事件から数年が経ってもサトルくんが苦しんでいる後遺症への言及があった。
「息子は登校時、あなたを連想させる中学生に対し恐怖を抱いたり、登校自体を拒否する発言があるなど目に見えない不安と恐怖を抱えて不安定になり、精神科で『ストレス性障害』との診断を受け、カウンセリングに通って、なんとか日常を維持しようと頑張っています」
その後、サトルくんの母親とAの間で交わされたやりとりの一部を紹介する。
「『サトルくんとセックスしてみよう』と思い、行動に移してしまいました」
サトルくんの母親 あなたが手紙を書いてから1年以上が経っています。その後、あなたはなぜ事件を起こしてしまったのか、考えることはできましたか。今の時点での考えで構いませんので、あなたの言葉で私たちに答えを教えてください。
A 当時の自分は、『セックスは何だろう』や『セックスしたらどんな感じなんだろ』と、『セックス』というものに興味を持っていました。その後も、友達と『セックス』の話をした時は、『いつかやってみたいな』と思うようになりました。後のことや相手のことを考えず、『サトルくんとセックスしてみよう』と思い、行動に移してしまいました。今思えば、自分はクソ野郎で、何も考えずに、自分がこういうことをしたら相手はどう思うのか何も考えずに行動してしまいました。
サトルくんの母親 (心理)検査や指導を受けたことによって、今回の事件につながってしまった、あなたの行動や考えの良くないところをコントロールする方法を学ぶことはできましたか?
A 『何も考えずに行動すること』、『相手のことを考えずに行動すること』、『後の事を考えずに行動すること』が、今回の事件を起こしてしまった原因でもあるので、そこを直すために、『こういうことはやっていいのか』、『これをしたら相手はどう思うか』などと意識して行動することが大事ということを学びました。
サトルくんの母親 あなたは今年の春から高校へ入学しましたが、息子を公共交通機関などで見かけたりはしていませんか。また、もし見かけたとして、声をかけたりする等、息子へ怖い思いをさせていませんか。
A サトルくんを見かけたりしていないかということですが、見かけていません。見かけたとしても、話しかけたりなどして怖い思いをさせないよう心がけています。現在は、勧めていただいた本を読んで感想をノートに書いたりして理解を深めたり、被害者や加害者の心理の本を読んでたくさん知らなかったことを知ったりして、学び続けています。
サトルくんの母親 今回の性被害の件も含めたいじめ重大事態調査の報告書の案が、私の手許にようやく届きました。あなたやあなたのお母さんが、この調査に応じなかったということを知りました。
A 詳しく話を聞いた結果、母親と相談して調査に応じないことにしました。事件のことで傷つけてしまったこと、今でもつらい思いをさせてしまっていることは、常に忘れずに生活していきます。
