北海道に住む小学校3年生のサトルくん(仮名・当時8歳)が、近所の住宅街にある小さな公園内で、中学1年の男子生徒Aから繰り返しわいせつな行為を受ける事件が2021年に起きていた。
同じ少年野球チームの先輩メンバーだったAはサトルくんを近所の公園へ誘うと唐突に自分の性器を露出させ、「俺の下半身を見ろ、お前の下半身を見せろ」と命令。そしてサトルくんの手を掴み、自分の性器を触らせた。別の日には、公園内にある女子トイレにサトルくんを連れ込み、ズボンを脱がせると「お尻の穴にチンチン入れさせて」と言い、自身の性器を挿入しようとした。
サトルくんはその後、PTSD(外傷後ストレス障害)の診断を受けるほど精神を病み、生活は一変してしまった。
この事件は家庭裁判所で審理され、Aは保護観察処分を受けている。審判前、Aはサトルくんに手紙を出していた。
《…なぜそうゆうことをしてしまったかは、今はまだうまく説明できません。もう間違ったことを絶対にしないように、なんでこんなことをしてしまったか、自分の心と向き合い、いろんな人の意見を聞きながら、原因をはっきりさせて、しっかり反省したいと思います…》
「セックスしてみたい、気持ち良くなりたいと思うようになった」
審判では、Aは、加害の理由を含めて、こう供述している。
《おちんちんを触らせるとかお尻の穴に入れることに興味を持ったのは、友達との会話がきっかけです。今年の5月ごろだったと思います。セックスしたら気持ちがいいとか勃起などの話をしました。その後、友達からオナニーが気持ちいいと聞いて、自分でも何回かやってみました。でも勃起はしましたが、射精はできませんでした。そんなことがあってセックスしてみたい、気持ち良くなりたいと思うようになった。相手にサトルくんを選んだのは、近所に住んでいて野球の後輩でもあるし、一番話しやすく、性格も優しいからです》
保護観察期間は当初1年程度の見込みだったが、3年に延長された。サトルくんの母親は、保護観察官や保護司を介し、Aと「心情交流」を行った。
心情交流とは、2023年に本格運用が始まった「心情等伝達制度」を指す。
犯罪被害者や家族が、受刑中の加害者(少年の場合は、少年院の在院者や保護観察機関中の少年)に対して、事件に関する心情や置かれている状況を伝えることができ、加害者の反省を促すと同時に被害者の心のケアや権利回復につながることが期待されている。
