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彼女の「収入事情」と「営業努力」
実入りはよくて1日数千円、ときにはゼロの日もあることからして、荷物を置いたり雨露をしのぐ拠点を持つことは思いのほか無理があり、朝9時ごろにネットカフェから出るとそのまま夜10時までずっと路上に。
久美さんは続けた。
「公園付近にいたり、ハイジアの階段で座ったり、数時間ごとに場所を変えてね」
一つの場所でじっとしているのはさすがにキツい。これは、長年の経験から編み出した効果的に客を取る久美さんなりの処世術でもあるようだ。ところ変われば品変わる。よく言われるように、新規客の目にとまりやすくしているのだという。
さて、着替えや防寒具の類はどうしているのか。久美さんは今日も使い古した大きめの紙袋とナイロン製のエコバッグを持っていた。中身を確認させてもらうと、大きめの紙袋にはラブホやネットカフェで入手したであろう使い捨ての歯ブラシやコットンや替えの下着類が、エコバッグには財布や化粧道具などが乱雑に入れられているだけだった。まさかいまあるもので私物は全部じゃあるまい。
他の荷物は近場のコインロッカーに預けていることがわかり、そこまで案内してもらうことになった。追加料金を投入してカギで扉を開ける。
