「一部の生徒の間ではめちゃくちゃカリスマになった」引きこもり生活を経て、中3でサブカル女子に変身
――そのメンタルからどうやって回復していったんですか。
新居 もう、どう回復したかの記憶もないんです。とにかく引きこもっている頃は自分のやりたいことがわからなくて。でも好きなサブカルはいっぱいあって、神聖かまってちゃんや大森靖子さん、あとアーバンギャルドさんも好きで、歌詞の一つひとつの言葉に意味を見出してました。
一日中、神聖かまってちゃんだけを見ている日もありました。MVを見て、配信を聞いて。その配信の向こうの「の子」さんしか友達がいないみたいな時期を過ごしていて。ただ別に寂しくはなかったです。充実してました、なんだか。
サブカルにはまっていって、中学3年生からは登校するようになったんですけど、ピンク色のウサギのぬいぐるみを持ったり、フリフリの傘を持って学校に行ってました。髪型も姫カットで前髪パッツンだったので、学校の一部の生徒の間ではめちゃくちゃカリスマになってました(笑)。
――変わり者キャラを演じていたわけですね。
新居 そうです。そこで気づいたんですよ。狂気があれば人は近寄ってこないって。陰で悪口を言われても、もともと被害妄想が強くて全部自分の頭の中ですでに言われていることだから、気にならない。
あと、かわいそうないじめられっ子が頑張って登校していると思われるのがめっちゃ嫌で。だったら変わり者の方が楽だと思ってました。
――新居さんのプライドがかわいそうに見られることを許さないわけですね。
新居 そうです。同情の目で見られたくなくて。学校が主戦場じゃない子が学校に遊びに来たよ! くらいの方がまだマシだったというか。狂気で防御することで、中3の頃はちょっとは学校に行けるようになりましたし、学校に行けないことで自分を責めたりはしなくなってました。学校のみんながやりたいことが私のやりたいことじゃないなと気づいたので。
学校で変に気を遣って、どんな会話をしたら大丈夫かなと考えている時間があるんだったら、家で好きなバンドの曲を聞いている方がずっと楽しい。私が今までつらいと思っていた学校という世界って、こんなにつまんないものだとわかったんです。
撮影=原田達夫/文藝春秋
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