『国宝』を意識した上演が?

 映画のなかで重要な意味を持つ『曽根崎心中』。吉沢亮演じる喜久雄は、渡辺謙演じる花井半二郎が病に倒れ、代役としてお初を演じる。実子である俊介(横浜流星)ではなく養子の喜久雄が選ばれるという、歌舞伎の残酷な面も描かれる。しかし時を経て、俊介がお初を勤め、喜久雄が相手役の徳兵衛を演じるーー。そんな筋書きだ。

喜久雄を演じた吉沢亮 ©︎時事通信社

 この映画が公開されてから、特に女性から「歌舞伎の『曽根崎心中』が見たい!」という声をたくさん聞いた。

 ついに、というか、いよいよ、というか、2026年3月に京都南座で『曽根崎心中物語』が上演されることになった。

ADVERTISEMENT

 お初には中村壱太郎、徳兵衛には尾上右近が扮する。取材の印象では、本当にふたりは仲が良い。舞台での「盟友」といった感じだ。

 もともと『曽根崎心中』は壱太郎の祖父である四代目坂田藤十郎の当たり役で、成駒家のお家芸でもある。映画の大ヒットを受け、満を持しての舞台という感じだ。

京都南座での上演が決定した(歌舞伎美人HPより)

 興行収入173億円を突破し、今度は歌舞伎の舞台にも『国宝』のオーラが浸潤してきそうだ。

次のページ 写真ページはこちら