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職員は左胸や脇腹を咬まれ、ドクターヘリで運ばれたが、出血性ショックで亡くなった。運転席の中は血まみれになっていたという。
教訓を生かすために
事件後の検証によって、安全管理体制に問題があったことが指摘されている。車の窓ガラスを守る安全バーは直径約2センチで、ツキノワグマの襲撃への備えとしては十分ではなかった。他のサファリパークのように、安全バーではなく窓全体を鉄格子で覆っていれば良かった。
さらに、群馬サファリパークでは車両の点検はほぼ毎日行っていたが、安全バーの強度点検は1カ月に一度程度だったという。点検不足により、バーの緩みに気づかなかった可能性も考えられる。
さらに、他のサファリパークでは飼育動物が巡回車に近づかないようなしつけをしており、単独の巡回も避けているというが、この点でも群馬サファリパークの対応は十分とは言えなかった。事件後、職員の死亡事故については労災が認定されている。
群馬サファリパークの事件を受けて、動物園のガイドラインが改正され、現在はこのような事件が起きないようになっている。
韓国においても、日本においても、過去の痛ましい事件の教訓を真摯に受け止め、安全管理に生かしていくことが大事だろう。
中野 タツヤ(なかの・たつや)
ライター、作家
出版社で書籍・Web編集者として活躍したのち独立。ヒグマ関連記事を多数手掛けた経験をもとに、日本および世界のクマ事件や、社会・行政側の対応について取材している。tatsu_naka1226@ymail.ne.jp
ライター、作家
出版社で書籍・Web編集者として活躍したのち独立。ヒグマ関連記事を多数手掛けた経験をもとに、日本および世界のクマ事件や、社会・行政側の対応について取材している。tatsu_naka1226@ymail.ne.jp
