そんな晋陽湖動物園で事件が起きたのは、2014年11月29日。

晋陽湖動物園では12歳の雄のヒグマ「ウンビ」を飼育していた。同じ檻の中で、20歳の雌ライオン「スニ」も飼育していた。檻の広さ横15メートル、縦7メートルで、中に鉄格子を設け、ヒグマとライオンのスペースを分離していたという。

鉄格子にはドアが設けてあり、互いに行き来できる構造だった。もちろん、そのドアを動物が開けてしまわないよう、南京錠がかけられていたという。

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ただ、この日の朝、ヒグマのウンビが鉄格子を越えて、ライオンのスペースに侵入してしまった。鉄格子に設けられたドアが経年劣化によりもろくなっていて、ヒグマの前足のパンチにより破壊されてしまったようだ。

たちまちヒグマとライオンの間に戦いが発生した。

と、そこに晋陽湖動物園の飼育員が駆けつけ、吹き矢で麻酔薬を注射し、絡み合ったヒグマとライオンを引き離したと中央日報が報じている。

なぜライオンは死んだのか

翌日、飼育員が出勤し、ライオンが死んでいるのを発見した。

このライオンは20歳の雌で、人間の年齢に換算すると約70歳にあたる。体重は約100キロとあまり大きくはなかった模様で、ヒグマとの格闘には耐えられなかったのかもしれない。ライオンの強みはその走力だが、檻の中という限定された空間では、その強みを十分に発揮できなかったとも言えるだろう。

事態が複雑になるのはここからだ。

晋陽湖動物園は、この雌ライオンの死を「病死」として晋州市に報告したのである。

先ほどの中央日報の報道によると、飼育員は「ライオンの肩の部分の毛が少し抜けていた以外に、特別な外傷はなかった」とし、「抗生物質と栄養剤を注射した後、異常がないことを確認して午後6時に退勤した」と語っている。

ライオンを解剖した獣医は、「ライオンは老いていて1週間前から全く食事が取れず、栄養剤で耐えていた状態で、状態が良くなかった」とし、「解剖でも外傷はなく、大腸の出血と肝臓の炎症などが発見されたため、老化による自然死と判断した」と語ったという。