8月23日、6対0でDeNAがリードして迎えた9回表。マウンドには藤岡好明が上がっていた。偶々この日、僕は横浜スタジアムで観戦していたのだが、後ろに座っていた観客は、『やっぱりこの点差じゃヤスアキは出てこないかー。少し打たれてくれないかなぁ』という話をしていた。
横浜スタジアムでの試合、DeNAが大量リードして守護神・山﨑康晃の出番がなくなると、ガッカリするような周囲の声を耳にした方や、あるいは自身が口にした方もいるのではないだろうか。
8月になって魅せられたプロフェッショナルの仕事
藤岡は二死から阿部慎之助にレフト前ヒットを打たれたものの後続を断ち、山﨑康晃の手を借りるまでもなく試合を締めたのであった。この試合のヒーローは、8勝目を挙げた東克樹、二本のホームランを打ったソトがヒーローインタビューに呼ばれ、たくさんのファンの声援を浴びたわけだが、プロ野球にはさまざまな選手がいる。この日ヒーローインタビューに呼ばれた東やソトに比べると藤岡に対してのファンの声援は決して大きくはなかったかもしれないが、自分に求められた仕事をきっちりこなしたという点では、藤岡もプロフェッショナルの仕事をしたのである。
今シーズンは8月になって初めて一軍に呼ばれた藤岡だが、一軍登録以来、非常にタフな使われ方をしている。今シーズン初の登板は、8月3日カープ戦。延長10回表、二死一、二塁でバティスタを迎えたところで砂田からスイッチされたところだった。ノーストライクツーボールの苦しいカウントからど真ん中の変化球で打ち取ると、11回も三者凡退に抑え、裏のサヨナラ勝ちに繋げたのであった。
今シーズン一軍初登板で失点が許されない場面。しかもランナーが溜まっていて、対戦打者は強打者。普通ならチビリ上がりそうな場面で、飄々とど真ん中に投げ込む藤岡の姿に、僕は自分には出来ない仕事だと唸らされたのであった。
その後も、3回4点ビハインド二死満塁、6回5点ビハインド二死満塁、4回6点ビハインド一死一、二塁と、先発投手が崩れた時に藤岡はマウンドに上がり、失点を増やすことなく、どんな場面でもニコニコとマウンドに上がり淡々と打者を打ち取ってきた。
藤岡は2016年にDeNAに移籍以来、一軍で登板することもあるが、基本的には便利使いされることが多い投手である。ファームでの防御率も2016年2.77、2017年2.73、2018年2.22と安定して推移。ファームで安定した成績を残し、いつでも一軍に呼ばれる準備は出来ているのである。