「無理をしている子もいたのかな」事務所からも編集者からも「痩せろ」と…
――太ると雑誌に呼ばれなくなったり?
田中 それはありましたね。無理をしている子もいたのかな……。もちろん、それが良しとされてるわけじゃないけど、事務所からも編集者からも「痩せろ」って言われますからね。
なのに、撮影の時にはお菓子が山盛りで置いてあって。皆その場では手を付けないけど、帰ってから食べちゃう。で、自己嫌悪に陥る子もいたかもしれない。
ただ、私が数キロ太ったこともそうですけど、ストレスで甘いものとかお酒に走ることって、普通の女の子なら誰でもあると思うんですよね。プロとしてはいかがなものか、ではあると思うんですけど。
――365日ダイエットしないと、と思うのはしんどいですよね。
田中 いまだに、「これ食べていいのかな」って思いますからね。もう今は好きなものを選んで食べてますけど、頭によぎること自体がすごいストレスです。
そんな感じで20代前半からずっと「ダイエットしなきゃ」って意識はあるんですけど、産後かなり太って、もう痩せません(笑)。
「思ってたより早く自分の名前がひとり歩きしちゃった」大ブレイク後に抱いていた複雑な想い
――過去のインタビューを読むと、田中さんはいつも「私は普通なんで」と答えているのが印象的でした。
田中 周りのモデルの子は背も高いし足も長くてまっすぐだったけど、自分はそんな神がかったスタイルなわけでもなく、骨盤も開いてるし太りやすいし。
なんというか、もう骨格からかわいい子っているじゃないですか。自分はそうじゃないってわかってたから、愛嬌で生きてきました(笑)。
――一方で、「田中美保になりたい!」といった特集が組まれるほどの人気ぶりでした。どう受け止めていた?
田中 いまだに「美保ちゃんの載っている雑誌を切り抜いて美容院に持って行ってた」とかってママ友に言われるんですけど、「知ってくれてたんだぁ、嬉しい!!」みたいな(笑)。「ありがとう、皆」って気持ちです(笑)。
ただ、当時は思ってたより早く自分の名前がひとり歩きしちゃった感があって。圧倒されちゃってたかな。
――自分の知らない“田中美保”になっていくというか。
田中 そうですね。テレビに出てるわけじゃなかったから、雑誌だけだと皆の想像が広がるじゃないですか。
――たしかに。
田中 私が出ていた時は月2回刊行のファッション誌があるくらい雑誌の売上が良かったから、モデルの子も人気の時代で。
それでモデルの子がテレビに出ると、「思ってたのと声が違う」みたいな反応があって、ちょっと怖くなったのはありますね。世間が思う「田中美保」と自分が思ってる自分って違うのかな? と思ったりはしましたね。
――今、当時の写真を見返すこともありますか。
田中 今はないです。過去なんでね(笑)。モデルの仕事はすごい好きだし続けたいけど、ずっと続けていけるほど楽な業界でもないだろうなあ、とずっと思って今に至ると。
いまだに、「もう他のお仕事を探そうかな?」と思うこともあります。もちろん、他のお仕事も大変だと思いますが……。
撮影=杉山秀樹/文藝春秋
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