すると朝日新聞も毎日新聞も「~すべきだ(すべきである) 」「~ほしい 」「~したい」という言葉遣いが多かった。読売新聞も大体同じだった。しかし読売には朝日や毎日にはあまり見かけない言葉があった。
個性が出た各紙の社説の言葉遣いとは
それは、
「必要がある」「看過できない」「~なのは中国ではないか」
の3つだ。
いくつか例を挙げよう。
《日本は米国とフィリピンなどと連携し、中国に自制を促していく必要がある。》(6月2日)
《中国が南シナ海情勢を緊張させていることは、看過できない。》(8月3日)
《力による戦後秩序の変更を図ろうとしているのは、中国ではないか。》(1月3日)
いかがだろうか。産経に負けず読売も中国を看過できないのであった。特に南シナ海関連の社説で「必要がある」「看過できない」「~なのは中国ではないか」が2015年の社説によく出ていた。いかにも安保法制の年という感じだ。ある意味安倍政権にエールを送っているようにも読めた。
ではそのうえで今回の高市答弁についての読売の社説を読んでみよう。
『首相の台湾答弁 中国は問題をこじらせるな』(11月18日)
中国が日本への渡航自粛を呼びかけ、留学も慎重に検討するよう求めた点に触れていた。読売はこの点について、
《具体的な根拠も示さず、日本を貶めるような発信を繰り返す中国の姿勢は看過できない。》
出ました、「看過できない」!
さらに次だ。東・南シナ海の安全について、
《問題をこじらせているのは中国自身ではないか。》
出ました、「~なのは中国ではないか」。見事に揃った! ということはやはり今回は安保法制以来といっていいほどの「事態」であると言えよう。新聞各紙も興奮したり憂えたり十八番の言葉遣いを見せたり、読みどころ十分なのである。
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