日中関係に緊張感が漂うと興奮する新聞もある。たとえば産経新聞だ。保守派を自負する産経は日ごろから中国ネタを1面トップに持ってくることが多い。それだけ中国に対して懸念を抱いていることが伝わってくる。
日本の主要6紙は「非礼」ぶりをどう報じたか
となると例の「ポケットに両手を入れたまま応対」(中国外務省の劉勁松アジア局長)の件はどうだったか。しかも外務省の金井正彰アジア大洋州局長が劉氏に頭を下げたように見える場面が中国のSNSで広まった。中国側の優位をアピールするためのプロパガンダの一環なのだろう。これに産経ニュースは憤って何本も伝えた。面白かったのは次の記事だ。
『中国外務省局長「ポケットに両手」の非礼写真、朝日・東京は掲載せず 産経は1面』(19日)。
「日本の主要6紙はこの『非礼』ぶりをどう報じたか、19日付け朝刊(東京版)の写真を比較してみた」という。凄い! 自ら新聞読み比べをしているではないか!
“局長ポケット”写真について産経新聞は「1面に2段分の大きさで掲載した」が、読売新聞は2面で、毎日新聞は3面、日経新聞も3面だったと伝える。朝日新聞と東京新聞にはポケットに両手を突っ込んだカットは載っていなかったと報告する。俺たちが1面で大きく報じているのに朝日と東京は何をしているのだ、お前らは媚中なのか!というような感情が伝わってきた。いかにも産経らしい記事であった。
ところが、思わず何度も読み直してしまった記事があった。11月19日の3面だ。
『首相の台湾有事 「存立危機事態」答弁 不用意に踏み込む』
え、産経新聞が高市発言を不用意と書いている?
