間柄は高校時代から不変のまま
藤浪によれば、同級生は様々な業種で奮闘しているという。営業職、接客業……舞台こそ違えど、それぞれが時には挫折も味わいながら日々、“何か”と戦っているのだろう。それは、孤独なマウンドで屈強なプロの打者に立ち向かう桐蔭の絶対エースも同じ。昨年から思うような結果を残せていない右腕が一番、歯を食いしばっているのかもしれない。「こんなこと思ったことないですけど、自分が2軍落ちしても、(関係が)変わることはなかったので。本当に信頼できる仲間です」。高校時代と全く同じで、苦しい時に支え合い、互いの背中を見ながら、力に変えられる間柄は不変のままだ。
「藤浪、最近、全然あかんやないか!」
(完全な想像だが……)もしかしたら、今、チームメートたちは会社の上司にこんな“嫌味”を言われているかもしれない。本人はもちろん、1軍で打ち込まれる様を見て、桐蔭の仲間たちも、きっと悔しい思いをしている。藤浪が彼らを「一番の仲間」だと言い切ったように、プロの世界に飛び込んだタイガースの背番号19を、彼らも誇りにしている。
7月26日の広島戦で1死しか取れずKOされてからは、1軍登板はなく、現在も2軍調整が続いている。聖地のマウンドではもう1年以上、白星を手にしていない。十代の時からずっと“ホーム”にしてきた甲子園で、藤浪が会心の笑顔を浮かべる日を、「一番の仲間」たちも待っている。
遠藤礼(スポーツニッポン)
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