文春オンライン

「一番の仲間」阪神・藤浪晋太郎と大阪桐蔭同級生をつなぐもの

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/30
note

間柄は高校時代から不変のまま

 藤浪によれば、同級生は様々な業種で奮闘しているという。営業職、接客業……舞台こそ違えど、それぞれが時には挫折も味わいながら日々、“何か”と戦っているのだろう。それは、孤独なマウンドで屈強なプロの打者に立ち向かう桐蔭の絶対エースも同じ。昨年から思うような結果を残せていない右腕が一番、歯を食いしばっているのかもしれない。「こんなこと思ったことないですけど、自分が2軍落ちしても、(関係が)変わることはなかったので。本当に信頼できる仲間です」。高校時代と全く同じで、苦しい時に支え合い、互いの背中を見ながら、力に変えられる間柄は不変のままだ。

「藤浪、最近、全然あかんやないか!」

(完全な想像だが……)もしかしたら、今、チームメートたちは会社の上司にこんな“嫌味”を言われているかもしれない。本人はもちろん、1軍で打ち込まれる様を見て、桐蔭の仲間たちも、きっと悔しい思いをしている。藤浪が彼らを「一番の仲間」だと言い切ったように、プロの世界に飛び込んだタイガースの背番号19を、彼らも誇りにしている。

ADVERTISEMENT

 7月26日の広島戦で1死しか取れずKOされてからは、1軍登板はなく、現在も2軍調整が続いている。聖地のマウンドではもう1年以上、白星を手にしていない。十代の時からずっと“ホーム”にしてきた甲子園で、藤浪が会心の笑顔を浮かべる日を、「一番の仲間」たちも待っている。

藤浪晋太郎の復活を「一番の仲間」たちも待っている ©文藝春秋

遠藤礼(スポーツニッポン)

※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/8394でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

「一番の仲間」阪神・藤浪晋太郎と大阪桐蔭同級生をつなぐもの

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!