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「一番の仲間」阪神・藤浪晋太郎と大阪桐蔭同級生をつなぐもの

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/30

 夏の甲子園は、大阪桐蔭が史上初となる2度目の春夏連覇を達成し、記念の100回大会に華を添えた。秋田代表の金足農業を下して、優勝を決めた瞬間、大会の主役だった根尾昂、藤原恭大ら「TOIN」ナインがマウンドに集まって歓喜を分かち合う姿を見て、藤浪晋太郎の言葉を思い出していた。

「高校のメンバーが、自分は一番の仲間だと思っています」

 ちょうど1年前。99回目の夏の甲子園が開催されていた8月、藤浪は鳴尾浜で汗を流していた。開幕から不振にあえぎ、5月下旬に出場選手登録を抹消され、長らく2軍暮らしが続いていた。もがいて、苦闘する中で、大切な存在として口にしたのが、2012年に初めて春夏連覇した当時の大阪桐蔭のチームメートたちだった。偉業を成し遂げた仲間とは、卒業から約6年が経った今でも、強い絆で結ばれている。

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大阪桐蔭時代の藤浪晋太郎(右) ©文藝春秋

プロ入り後の同級生との交流

 同じ3年生の中で、高卒としてプロ入りしたのは藤浪1人。ほとんどが大学を経て昨春から社会人として第1歩を踏み出した。一昨年の冬に退寮して、1人暮らしを始めた藤浪は、彼らと食事をする機会も増えた。

「仕事終わりにスーツ姿で合流して、自分にとっては、新鮮ですよね。会社では、こんなことが大変だとか。就職活動がどんな感じだったとか……。いろんな話ができるし、逆に自分の話も聞いてもらえるので、すごく良い時間になってます」

 2軍はデーゲームが主で、球場を出るのはちょうど夕食前の時間が多くなる。自炊や、1人でひょこっとラーメン屋に立ち寄ることもあれば、出勤を終えた仲間たちと焼肉店で合流することもある。

大阪桐蔭が春夏連覇した際の紙面 ©スポーツニッポン
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