自由民主党と日本維新の会の連立により、日本始めての女性首相が率いる「高市内閣」が成立した。この連立を日本維新の会の“創業者”である橋下徹氏はどう見るのか。「文藝春秋」12月号のインタビューから一部紹介します(聞き手 青山和弘・政治ジャーナリスト)

◆◆◆

解散は封じないといけない

 ――内閣発足後の新聞各紙の世論調査で、高市内閣の支持率は、70%台の非常に高い数字が相次ぎました。こうなると、議席を増やして政権を少しでも安定させるために支持率が高いうちに衆議院を解散したい、という誘惑に高市首相がかられる可能性もあると思います。でも、維新は自民と選挙協力などの話はまだまったくできていない。ここで解散を打たれると、いきなり苦境に立たされることになり、連立そのものが壊れかねません。維新としては、早期解散は避けたいところですよね?

維新の会の“創業者”橋下徹氏が疑問に答えた ©共同通信社

 橋下 維新が「閣外協力」という形であれ、自民と一緒に政治を行う以上は、首相の絶大なる武器である解散権は封じないといけないんです。自民と維新で選挙区候補者の調整は絶対にできないので、解散権を封じないと、自民の都合で総選挙になって準備のできていない維新はえらいことになります。最終的にはトップ同士、維新の吉村洋文代表と高市早苗首相の信頼関係にかかっている。維新としては、高市首相が今ある信頼関係を壊してまで解散権を行使することはないと信じるしかないでしょう。

ADVERTISEMENT

維新の吉村洋文代表(左)と高市首相 Ⓒ時事通信社

 ――現在、大阪府知事も務める、維新の吉村代表は、連立に向けての自民との政策協議で、「大阪都」の実現につながる「副首都構想」「社会保障改革」の二本柱に加えて、「議員定数削減」を「絶対条件」として示し、それを自民党に呑ませました。議員定数の削減は今開かれている臨時国会で、副首都構想は来年の通常国会で審議される予定です。橋下さんは議員定数削減の約束をどれぐらい重要視していますか? 臨時国会で実現の目途が立たない場合、副首都構想の審議入りを待たずに連立離脱もありえますか?

 橋下 議員定数削減は、僕が2012年に「日本維新の会」を結党したときからずっと掲げている政策です。日本維新の会の源流である大阪維新の会でも府議会・市議会の定数削減をしました。まずは自分たちの身を切る改革をとことんやって、そこから住民・国民の皆さんにご負担をお願いする。そのことによって住民・国民の皆さんは「あいつらがそこまでやるならまあしょうがないか」としぶしぶ負担を受け入れてくれるのです。大阪はこのやり方で大改革を断行しました。