「誰もが幸せの形を選択できるように」
――「事実婚で済むなら、選択的夫婦別姓はいらないんじゃないか」という声もあります。
たかまつ 事実婚にも課題はあるんですよ。たとえば税の控除が受けられなかったり、配偶者として医療行為への同意ができなかったり、相続権がなかったり。また子どもの親権問題など、法律婚の壁は歴然とあります。でも、私たちはそんなリスクを考えても、これまで使用してきた名前を失いたくなかった。だから事実婚を選択するしかなかったんです。
ただ私は、「結婚したら同姓になりたい」という人たちを否定しているわけではありません。それはそれで素晴らしいことなので、「選択的」夫婦別姓が制度化されれば、誰もが幸せの形を自分の好きなように選択できる。その自由度が広がればいいな、って。
――選択的夫婦別姓については、30年近く議論されています。
たかまつ 今は男女とも外で働く時代なので、姓を変えることに抵抗がある人は一定数いると思いますね。弁護士や研究者など、名前を変えることでキャリアに断絶がでやすい人たちもいます。
それに、日本の文化として、子どもを産んでから結婚する人は少ないと思うんですよね。結婚してから子ども、という手順を踏むと、結婚そのものに姓を一緒にする同姓婚という法律の壁がある。だったら姓を変えたくないから結婚しなくていいやと、本当は欲しいけど、なんとなく子どもを産むのを先延ばしにしている人もいるんじゃないでしょうか。もちろん、少子化の問題は社会構造としてもっと複雑ですが。
――ご自身は、子どもについてどのようにお考えでしょうか?
たかまつ 子どもは持ちたいとずっと思っていて。私個人としては、早く欲しいなというのが本音です。今32歳なので、ヒデさんともしっかり話し合って、そろそろ真剣に考えようかと。
若い人が結婚しにくい環境になっている?
――現代の婚活事情については、どう思いますか?
たかまつ 今、ひと昔前より若い人が結婚しにくい環境になっている気がするんですよ。学生時代に知り合えたらラッキーで、「恋人いないの? 紹介してあげるよ!」という仲人的な人や、仕事関係の相手と親密な関係に発展するケースというのはグッと減っているんじゃないかと。いずれも「セクハラ、パワハラ」と言われかねないので。それはもちろんいい変化でもあるんですけど、「出会いがない」と感じている若者がすごく多いなと感じます。だからマッチングアプリが活況化する。
――ここ数年、1年以内に結婚した夫婦の出会いのきっかけは「マッチングアプリ」が最多という調査もありますね。
たかまつ とはいえ、アプリでもトントン拍子に進むわけではないんですよ! 私は身をもって知りました。
(つづく)
写真=山元茂樹/文藝春秋




