カルビーの「じゃがりこ」が2025年10月に30周年を迎えた。同社によると、いまや年間売上高480億円を超える立派な主力商品となっているじゃがりこだが、開発当初は創業者から「こんなに固い商品は売れない」と否定され、消費者からも「固いし、味がしない」と酷評されていたという。
じつはもともとじゃがりこは、違う名前で形なども現在と異なった仕様で産声を上げている。そこからどのように現在の形へと進化していったのか。当時、開発リーダーを担当した同社のOB、山崎裕章さんに話を聞いた。
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じゃがりこの開発が始まったのは正式な販売の3年前、1992年にさかのぼる。同年、カルビーは初めて5カ年にわたる中期経営計画を策定。独自の技術やアイデアを基に商品を市場に投入する「プロダクトアウト型」の開発が主流だったところ、マーケティング部門を新設し、消費者のニーズに応じた商品作りへと舵を切った。
企画に当たり、ターゲットには女子高生を定めた。背景には2つの狙いがあったという。
一つは、少子化による将来的な市場縮小を見越して、新たな顧客層を開拓する必要があったこと。その上で、当時はルーズソックスに代表されるように、女子高生が流行を作り出していた時期だったことから、その拡散力にも期待を込めた。
ターゲットを定めた後、大規模な消費者調査を実施。その結果「美味しいものを手を汚さず」「みんなでワイワイと食べたい」というニーズを発見し、商品の開発をスタートした。
