「反対されたら親と縁を切る」と言ってくれた彼

――双方のご両親の反応は?

SHIBUKI めっちゃ喜んでくれました。妊娠する前に彼と結婚の話もしていて、「ひーくんのお父さんお母さん、私と結婚することに反対しないかな?」って聞いたことがあったんです。

 彼は、「反対されたら親と縁を切る。俺が誰と結婚しようが俺の勝手じゃん」って言ってて。実際は、彼の両親は私の障害も受け入れてくれて、1人の人として見てくれるのでまったく問題なかったんですけど、彼の言葉は嬉しかったですね。

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 以前、同じ障害をもった女性から、「彼の両親から結婚を反対されていてなかなか結婚できない」と相談を受けたことがあったんですけど、それはちょっとなぁと思ったこともありました。

――彼がちゃんと説得してほしい、ということ?

SHIBUKI ですね。自分たちの結婚のことも決められない相手と今後一緒にやってくのは不安だよね、と思っちゃいました。

妊娠・出産より子育ての方がめちゃくちゃ不安だった

――脳出血を経験されていることから、出産時に特別な配慮などはあったのでしょうか。

SHIBUKI 病気をした時にお世話になった大学病院で産んだんですけど、出産前に脳のMRIを撮ってもらって、何かあってもすぐ対応してもらえるようにしていました。

 それと、子どもが双子ということもあったし、いきんでまた脳出血しないかも心配だったので、帝王切開で出産しました。ただ、妊娠・出産への不安より、子育ての方がめちゃくちゃ不安でしたね。

 

――麻痺がある中で双子の子育てということで、大変ですよね。

SHIBUKI 新生児の時、抱っこができなかったんです。夜泣きの時って、抱っこしながら歩き回ってトントンしたりするじゃないですか。でも私は杖なしだとバランスが取れないので、子どもを抱っこすることもできない。右手が麻痺しているから、おむつも替えてあげられない。

 小さい時は母や夫にお願いすることばかりで、歯がゆかったですね。

――最初はお子さんを持つことに戸惑いがあったということですが、実際にお母さんになって気持ちに変化は?

SHIBUKI もちろん子どもはめちゃくちゃかわいいし、産んで良かったと心の底から思ったんですけど、新生児期は子育てにほとんどコミットできなかったせいか、“母”になった実感が乏しかったのもたしかで。私はこれで大丈夫なのかな?って悩みました。

 ただそれも、子どもが大きくなってできるようになることが増えていって、自分も育児に関わることが増えるうちに、不安もなくなっていったかな。