14歳の時に「海綿状血管腫」を発症し、左顔面と右半身に麻痺が残ったSHIBUKIさん。それまではモデルを目指していたSHIBUKIさんは自分の変わりように衝撃を受け、「暗黒期」を過ごしたという。その後、23歳で双子を出産。
現在は子育てをしながら、自身の障害や家事・育児、大好きなメイクやファッションについて、等身大の姿をSNSで発信する。そんなSHIBUKIさんに、発症当日の様子から、障害を持って気付いたさまざまなことについて、話を聞いた。(全3回の1回目/つづきを読む)
◆◆◆
目の位置がズレてることに気づいて「ヤバい」
――中学3年生の時に脳出血を発症したそうですが、何か兆候はありましたか。
SHIBUKIさん(以下、SHIBUKI) もともと貧血もあったし偏頭痛持ちだったので、ちょっとした不調は日常茶飯事だったんですけど、ある日の4時間目の授業中、これまでに経験したことがない頭痛に襲われて。
――直感的に「これはマズい」と感じるような頭痛だった?
SHIBUKI そうですね。そのまま机に突っ伏してしまったんですけど、一番ヤバいと思ったのは頭痛よりも目の位置がズレてることに気づいた時で。
――黒目があらぬ方向に向いているような?
SHIBUKI そんな感じです。授業が終わった後、ヨロヨロ歩いてトイレまで行って自分の顔を見たら黒目があっちこっちにいっていて、これはヤバいと。
友だちや先生に助けてもらいながらなんとか保健室まで辿り着いた時にはすでに右半身の麻痺と嚥下障害も出ていて、水が飲み込めず吐いてしまったんです。母が駆けつけた頃にはけいれんが始まり、ここからもう記憶がありません。
両手両足が縛ってあった状況で目覚めて
――目覚めた時の状況は?
SHIBUKI 目が覚めたのは手術が終わった後で、倒れてから数日経っていたようでした。その時、両手両足が縛ってあったようです。
――拘束しないといけないような危険があった?
SHIBUKI 状況の変化を飲み込めなくて暴れちゃう人もいるらしくて、それで最初は手と足を縛ってたみたいなんですけど、私は倒れる直前に体が麻痺したことも嚥下障害があったことも覚えていたので、わりとすんなり状況は飲み込めて。
その時はずっと治らないものとは思っていなかったし、まだぼんやりしていたこともあって、とにかくリハビリを頑張ろう、という感じではありましたが、「なんで自分がこんな目に?」というのは入院中、ずっと思ってました。
――記憶や思考などに影響はなかったのでしょうか。
SHIBUKI そのへんは全然ないですね。記憶もあるし、好みが変わるようなこともなく。
ただ、麻痺している左目の視力が落ちて、左耳も難聴になりました。音は入ってくるんですけど言葉が入ってこないから、音楽を聞いていても歌詞は全然わからなくなりましたね。
――顔の麻痺を知ったのはどのタイミングでしたか?


