支離滅裂な供述を続け、検察官が「被害者を侮辱するな」と激怒
被告本人への質問では、証拠として法廷にて提出された音声とまったく異なる主張をし始めた。
証拠音声は、被告人に手を切られた被害者が、警察に通報するところから始まるもの。
被害者が警察にケガの様子を伝えると、受話器を被告人に渡すよう指示があり、被告人は警察から包丁を置くように諭されるも、全く応じない。この間、被告人は被害者に対して「『監禁されています』って早く言えばよかったんだ」「私に逆らわなければ、あんたもケガせんかったんや」とまくしたてていた。
さらに被告人は、法廷にいる自身もこの音声を聴いているはずにもかかわらず、当時の様子について、全く異なる主張をし始めた。
いわく、被害者に警察へ電話してもらったのは、被告人の自宅付近に監禁されている人(詳細不明)の様子を見てもらうためだったという。被告人は、近所に住んでいるというその人物のことを「キチガイ」など差別用語をまじえて紹介しつつ、病院に入れてほしかったなどと語っていた。しかし、証拠音声中にはこの人物に関する言及はない。
さらに被告は、被害女性が電話をかけ始めたまではよかったが、ずっと電話を続けているので「看護師なんだから、電話ばっかりしていないで自分の体調を見て欲しい」という思いで包丁を差し向け、結果として女性がケガをしてしまったと主張した。
法廷で流された音声との矛盾を指摘されると、「そんな会話はありえない」、「警察の作り話だ」、さらに「正義の話をしろ」「傷害事件はもう終わった話だ」などと質問を遮るように大声で言い続ける被告人。
最終的に、被害者のケガが腱を断裂して3カ月のリハビリを要する重傷だったことを「ちょっと切れただけなのに3カ月なんて、そんな大げさにすることじゃない」などと表現したことに対し、検察官が「被害者を侮辱しないでください!」と一喝したことで“独演会”は収まったものの、被害者に対する謝罪の言葉は最後まで出ることはなかった。
