悠仁さまがお忍びで一般参賀に

 悠仁さまが「朝見の儀」で力強く述べられた「成年皇族としての責務の重さ」について考える上で、ヒントとなりそうな上皇さまのお言葉がある。

 今から45年前の1980年2月23日、20歳の誕生日に、天皇陛下の成年式が行われた。この年の8月の記者会見で、上皇さまは、古代中国の思想家、孔子と弟子たちの問答をまとめた「論語」を引き合いに出しながら次のように述べられた。

「(略)論語に『夫子(ふうし)の道は忠恕のみ』という言葉がありますね。この忠というか、誠実、真心といいますか、これは今から二千何百年前にいわれた言葉で、何も新しいことじゃないと思いますけれども、一人一人の人間がそういうことのできる社会ですね。(略)これは皆がつとめて維持していかなければいけないのじゃないかと思う(略)」(『新天皇家の自画像 記者会見全記録』文春文庫)

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 誠実さと他人を思いやる心こそが、人として生きる上でとても大切なことなのだと、上皇さまは言いたかったのだと思う。悠仁さまにとっても大事な教えだ。

 上皇さまは、皇太子時代や天皇としての在位期間中、象徴的行為として、日本全国津々浦々を、上皇后さまと二人三脚で回り、たくさんの国民たちと触れ合ってきた。また、お二人の国際親善の足跡は世界各地にも及んでいる。まさに、「全身全霊をもって象徴の務めを果たした」のである。特に、戦争の犠牲者や大地震、津波などの被災者といった弱者に対し、誠実に寄り添い、深い思いやりの心を持って接してきたのではなかったか。

 その上皇さまが退位前最後の「天皇誕生日」となる2018年12月23日、悠仁さまがお忍びで一般参賀に訪れたことがある。当時、悠仁さまは12歳、お茶の水女子大学附属小学校6年生であった。悠仁さまは、訪れた国民と同じ目線で、宮殿・長和殿のベランダに立つ上皇ご夫妻(当時、天皇皇后両陛下)の姿を仰ぎ見たのだ。参賀者の声に応え続けるその姿から、国民と苦楽をともにするとはどういうことなのかを肌で感じとり、多くの学びがあったはずである。