それだけではない。Designは、私が竹楽器に向き合うための新たな糸口、たとえば音を人と自然をつなぐ振動の共鳴として捉える発想を引き出してくれた。さらにこの発想は、現在進行中の、東京の都市空間での自然と人の繋がりを、音を通して捉え直し、実際の空間設計への提案とするプロジェクトにもつながっている。
日本の“デザイン”が生まれる場
そう考えると、こうして今、私がCollege of Design企画調整室に参画しているのも、私自身のDesignからの学びと期待を未来の若者と共有したいところが大きい。何より、多様なバックグラウンドをもつ1学年100人の仲間とそれを支える教員たちの切磋琢磨と、東大が有する多大な知がかけ合わさった圧倒的な環境が揃うのだから、期待は高まる。
いわゆる「進学振分け制度」(2年の教養課程ののち専門課程を選択する進学選択制度)はなく、1年次は全寮制、2年次以降に「環境と持続性」「テクノロジーの最前線とAI」といった5つの領域から様々な科目を受講できるほか、4年次には最大1年間の「Off-Campus Experience」とよばれる制度で、企業などでのインターンが可能となる。学びの場が大学を超えて拡がっていく。主体的に発想の種を醸成させ花開かせるためには、最高の環境だ。
“デザイン”という言葉は、日々拡張している。たとえば、水の音ひとつとってもその背景に日本固有の美意識があることを意識すると、都市の自然や水辺空間づくりに奥行きが生まれるかもしれないように、日本における“デザイン”が、その根底に持つ美意識を大切に活かしながら、Designをうまく取り込んでいくその模索の先に、どういった独自の“デザイン”が立ち上がりうるのか、その未来自体にも東大の新学部は大きく関与していくように思う。
◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2026年の論点100』に掲載されています。


