出所した男の「特殊性癖」
捜査側のミスによる信じがたい黒星。結局、白木は未決拘留日数がその刑に算入され、4年ほどで刑務所から出てくることになった。
出所した白木は生活保護を受けるようになったが、1年半後にはアルコール依存症で入院。その頃からまた白木の特殊性癖である女性が切りつけられる映像をサイトで見るようになった。
白木は普段は不能だが、それを見たときだけは勃起できる。いわば暴力と性欲が直結しているタイプで、2005年の事件もEDを克服するためにデリヘル嬢を呼んだというものだった。
男が起こした「さらなる事件」
そんな恐ろしい性癖を持った男が短期間で野に放たれ、さらなる事件を起こしたのは出所してからわずか1年9カ月後のことだった。
その日も白木は女性が刃物で切りつけられるサイトを見て興奮状態となり、しかも酒を飲んでいてへべれけになっていた。事件前、500キロ以上も離れた都市にある便利屋に電話をかけて、「自分を採用してほしい」と頼んだり、見ず知らずの女性宅に電話をかけて、「あなたのことを心配しています」などと話したりしていた。
さらに事件直前、これまでほとんど付き合いのなかった隣人宅に上がり込み、「ネットで事業を起こすから一緒にやらないか?」と誘い、迷惑がられて帰ることになり、その揚げ句に金髪外国人専門のデリヘルに電話をかけたのだ。
派遣されることになったのは、コロンビア人のエイミーさん(38)。運転手が先に金を取りに行き、車の中で待っていると、白木が路上まで出てきて、エイミーさんの容姿をジロジロと品定めした。
「オッケー、カモン!」
一緒に部屋へ行く途中、止まっていたバイクを指さし、「このバイクをあげる」とキーを渡してきた。
「ノー、ノー、結構です」
「いいからあげるって」
「ノー、要らないです……」
この時点で「何か変な人だなァ……」というのは感じていたが、部屋に入ってからそれが確信に変わった。