かつて女性を刺殺しながら“懲役6年”で出所した男は、危険な性癖とアルコール依存を抱えたまま社会に戻り、わずか1年9カ月後に再び凶行へ走った――。外国人女性を襲った犯行は、前回以上に異常で、残虐だった。なぜ男は止められなかったのか。裁判で明らかになった“元殺人犯の末路”を追う。なお登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
◆◆◆
「最後にお願いがあるんだ」
エイミーさんがパーカーをめくってお腹を見せると、「かわいい、かわいい」と連発。「最後にお願いがあるんだ」と言って立ち上がり、台所に移動した。
エイミーさんも立ち上がって、その様子を見ていると、白木が別人のような怖い顔つきになって戻ってきた。その手には何かが握られていて、それを後ろで隠していた。
(ナイフだ……!!)
そう思った瞬間、いきなり白木は腹に突き刺してきた。思わずエイミーさんはナイフをつかんだ。さらに白木は何度も刺そうとし、傷口から腸が飛び出しているのを見ると、「もっと見たい、もっと見たいー!!」と興奮状態になった。
「待って……、私が何か悪いことをしたのなら謝ります。お願い、許して……」
それでも白木は聞く耳を持たない。エイミーさんは片手で白木の手を押さえながら携帯電話を取り出し、「ポリス来てー、痛い!」と店の事務所に電話した。
その隙に白木は素早く近寄り、今度は心臓のあたりにナイフを突き刺した。
「やめて……、もう私、死んじゃうわ……」
