血まみれになって脱出した被害者女性

 エイミーさんは血まみれになりながらも、命からがら部屋を脱出した。そこへ運転手がすっ飛んできて、110番通報した。

「デリヘル嬢が客の男に胸と腹を刺された。すぐ来てください!」

 まもなく警察が到着。白木は逃げることなく、部屋の中で待っていた。事情聴取に対し、次のように話した。

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「彼女が果物ナイフでミカンの皮をむいていて、私の腹を突くようなそぶりを見せたから、刺されると思い、ナイフを取り上げて刺し返したんだ」

 エイミーさんは全治1カ月の重傷。だが、白木はまたも殺意を否認し、「犯行時は多量の飲酒による心神喪失状態だった」として、無罪を主張した。

「覚えているのはデリヘル嬢を呼んだこと、彼女が部屋に来たこと、彼女が外国人だったこと、SMチックな遊びをしていたことだけです。彼女が『ミカンの皮をむいてあげる』と言いながら、ナイフを私に向けてきたので、恐怖心から刺してしまった。しかし、彼女が元気そうに外へ出て行ったことは覚えています」

 これを聞いて、エイミーさんは激怒。当然ながら、デリヘルの仕事は2度とできなくなり、自国で治療したところ、保険がきかずに莫大な治療費がかかった。結局、日本に舞い戻り、別の仕事に就くことになった。

「誰もいない私の部屋に知らない男の人が入ってきて、襲ってくる悪夢が頭を離れない。日本の法律でずっと刑務所に閉じ込めてほしい。被告人は以前にも同じことをしているし、また同じことをするに決まっている。しかも、被告人にはお金がない。私に対する慰謝料が5万円なんてふざけている。国が代わって補償してほしい。国は被告人をよく調べず、自由の身にしてしまった。私にこういった被害を負わせた責任はこの国にもある」

 白木がどういった成育歴をたどったかについても触れておく。