かつては全体の有権者の「数%程度」の得票に留まっていたネット選挙が、今や「数十%の得票を目指す」時代に突入した。この大きな変化を敏感に察知し、躍進を果たしたのが国民民主党と参政党だ。両党はそれぞれ異なる戦略でネットの力を活用している。
「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」の発売に合わせて放送された番組「+RONTEN 2026」で、JX通信社代表取締役の米重克洋氏が分析した。(全2回の1回目/続きを読む)
2013年に解禁されたネット選挙の変遷
米重氏は、ネット選挙が解禁された2013年からの10年ほどを「フェーズ1」、現在を「フェーズ2」と位置づける。
フェーズ2の特徴は「ネットの滞在時間とマスメディアの滞在時間が逆転し、SNSや動画プラットフォームなどの社会的な影響力が増している」ことだ。
この変化をいち早く捉えたのが国民民主党だ。玉木雄一郎代表は長年にわたってYouTubeでの発信を積み重ね、「人気のコンテンツの作り方を自然に体得していった」と米重氏は評する。
ご法度だった若者向けのメッセージ
国民民主党の戦略は明確だった。現役世代、若い世代を明確にターゲットに設定し、玉木雄一郎代表が参加した討論会では「若者を潰すな」というフリップを掲げた。米重氏は「本来だったら高齢層は重要な票田なので、それを差し置いて若者に向けるメッセージはある意味ご法度だった」と指摘する。
さらに物価高の折、将来や生活への不安を抱える若い世代に対し、年収の壁問題や経済成長戦略など「手取りを増やす」具体的なベネフィットを語った。「伝送経路を抑えることと、わかりやすいメッセージを明確なターゲットに届けること、この2つをシステマチックに重ねた」のが国民民主党の特徴だという。

