「これまでの総理大臣の中ではネット地盤が一番強い」。高市早苗総理大臣の誕生は、自民党のSNS戦略に劇的な変化をもたらした。従来のテレビや新聞中心の発信から、ネットに最適化した広報への転換が始まっている。

文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」の発売に合わせて放送された番組「+RONTEN 2026」で、JX通信社代表取締役の米重克洋氏が語った。(全2回の2回目/はじめから読む

【ネット地盤が一番強いのは「高市早苗総理」】ネット選挙はフェーズ2に突入した|「全文書き起こし」自民党広報が変わった|国民民主支持層は玉木総理よりも「〇〇総理」に期待していた?【米重克洋】

自民党がネット選挙に出遅れた2つの理由

 米重氏は、自民党がネット選挙で出遅れた理由を2つ挙げる。「党首がネット地盤が弱く、従来のテレビや新聞を通じて知名度を獲得してきたタイプの政治家であること」と「大きい政党ゆえの身動きの取りづらさ」だ。

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米重克洋氏

 国民民主党や参政党が党首のリーダーシップによって「ワンボイスで強力に有権者に伝わる」のに対し、「自民党は党首とは違うスタンスで違う意見を伝える人も結構いた」ため、統一されたメッセージの発信が困難だった。

高市総理の誕生により一変した状況

 しかし高市総理の誕生により、状況は一変した。米重氏は「前の自民党総裁選で5人の候補者がいたが、高市氏は一人だけ圧倒的に動画の再生回数も回るし、登録者数も多い」と評価する。

 この変化は数字にも現れている。「YouTubeにしてもXにしても、自民党に関して言及されるものがネガティブ中心からポジティブ中心に急速に変わっている」。

高市早苗氏

 具体的な変化も見え始めた。自民党公式のXでは、幹事長や党役職者の記者会見の書き起こしを「全文Xに載せるような運用が始まった」。米重氏は「自民党の広報も急速に、ネットに最適化したものに改めてなろうとしている」と分析する。