明日12月12日でサイバーエージェント社長を退任し、会長に就任する藤田晋氏(52)。「週刊文春」の連載「リーチ・ツモ・ドラ1」で、社長として最後となるコラムを執筆した。
テーマは「手柄は人に渡し、それを忘れる」。その中身とは――。
馬主になって4年。所有する馬が活躍するたび、色んな競馬ニュースで自分も紹介されるけど、いまだに見出しに「ウマ娘藤田氏が」と書かれることがある。2021年、馬主に参入した時期が、グループ会社のCygamesがリリースしたゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』が空前の大ヒットを記録したタイミングと被ったからだ。
藤田社長が「我が物顔」を気にするワケ
取材などでは何度も「偶然です」と否定したんだけど、競馬ファンにはウマ娘好きな人が多いのもあって、メディアとしてはキャッチーなタイトルを付けたいのもあるだろう。でも、ウマ娘はCygamesの社員たちが頑張って当てた作品で、それを親会社の社長である私が我が物顔でアピールしていたら嫌な気分になるのではないかと心配していた。実際、私はウマ娘のゲーム、アニメに関して、発案、制作からリリース後の宣伝まで、ほとんど何も関わっていない。ただ、あまりに自分が無関係すぎて、逆にこの件はまぁいいかなとも思っている。競馬ファンに向けての宣伝にもなるだろうし。でも本来ならば、社長として、ここは非常に気を遣わなければならないポイントである。
なぜ、私が殊更に神経質になっているのかというと、「アレオレ」を言いがちなリーダーの振る舞いは、組織全体の活力を大きく削いでしまうと考えているからだ。アレオレとは、一時期のネットの流行で「オレオレ詐欺」をもじって「アレオレ詐欺」という造語が生まれたけど、ヒットした商品や儲かった事業の手柄を「あれはおれの仕事なんですよ」と横取りする人のことを指す。これに多くの人が共感したということは、みんな、近しき体験をした憶えがあるということだろう。
私自身の原体験は、新卒1年目の時だった。
藤田氏の原体験とはどのようなものだったのか。そこから得た教訓とは何だったのか。さらにメディア業界に顕著な事情とは? コラムの続きは「週刊文春 電子版」で配信しています。会長就任後も連載「リーチ・ツモ・ドラ1」は継続予定です。
(ふじたすすむ 1973年福井県鯖江市生まれ。97年に青山学院大学を卒業。98年にサイバーエージェントを創業し、2000年には史上最年少社長(当時)として東証マザーズに上場。現在はインターネット広告やゲーム、メディアなど多角的に事業を展開。12月12日付で会長に就任する。)
また、藤田氏の新刊『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』(文藝春秋)は発売6日で5万部を突破。全国の各書店やネットストアで好評発売中です。
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