タイミーを上場させたばかりの若手経営者・小川嶺社長との食事会で、サイバーエージェントの藤田晋社長は「あるアドバイス」を伝えた。26歳で上場し、巨額の富を手にし、さらに女優と結婚した彼だからこそ知る「嫉妬」の怖さとは――。
発売から1か月も経たず2度の重版を記録した新刊『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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若き俊英・タイミー小川社長との食事会
2024年7月26日に、出資先であるタイミーが上場した。社長の小川嶺氏は、立教大学在学中に起業した27歳(当時)の若者だ。時価総額1000億円を超える大型のIPO(新規公開株)で、彼は若くして巨額の個人資産を築いた。
サイバーエージェントは創業間もない頃に投資していて、日刊ゲンダイに「スキマバイトアプリ『タイミー』上場でサイバーエージェント藤田晋氏は71億円を手に」という見出しの記事を書かれたけど、もちろん私の手に入ったのではなく、会社がとても儲かった。
先日、そのお礼を兼ねて、小川くんとお祝いの食事会を開催した。二人だけの場でゆっくり話すのは初めてだった。まだ若く、独身で、金持ちで、経営者の中では割とイケメンで、勢いのあるスタートアップ。彼にこれから待ち受けるであろう、恐ろしい試練は、私には手に取るようにイメージできた。
なぜなら、私もまた、26歳で上場し、若くして巨額の個人資産を手にしたからだ。もうずいぶん前の話だけど。
まず、彗星のごとく現れた、注目のスタートアップ、それに対する同業者たちの視線は厳しい。実際、心中穏やかではないだろう。競争相手が育ちすぎる前に、なんとかして潰しておきたいはずだ。

