「事業分野が伸びているか」「経営者がイケてるか」、そして⋯⋯。サイバーエージェント藤田晋社長が「儲かるスタートアップの見抜き方」を紹介。新刊『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

藤田社長が明かす「儲かるスタートアップ」の見抜き方とは? ©文藝春秋

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中身を吟味すると、逆に間違えそう

 ところで、タイミー社にはかなり早い段階で、「藤田ファンド」という名の資金から投資している。藤田ファンドとは、私が自然と出会った有望そうな起業家の会社に投資するものだ。過去にはMIXIやDeNAなど多数の実績があり、かなり成績がいい。

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 それで、「藤田さんはどのように投資先を決めるのですか?」とよく聞かれるのだけど、その質問にはいつも答えに窮する。

「適当です」と言うほかないんだけど、実際、中身を細かく見る前に投資を決めてしまう。吟味すると、逆に間違えそうだからだ。投資した後も、たまに私が先輩起業家として相談を受けるくらいで、基本はほったらかし。

 小川くんも、若い起業家を集めた飲み会で初めて会って、顔を見ただけで投資を決めた。一応事業計画は説明されたけど、ろくに聞いてなかった。むしろ、ちゃんと検討したら投資できなかったと思う。

タイミーの小川社長 ©文藝春秋

 シェアエコノミー関連で、だいたい伸びそうな分野でやっていたし、経営者が「史上最年少の上場を目指します」と、意欲があって華もあったし、周囲が応援しているムードがあった。ここから分解して答えるなら、私が投資を決めるポイントは3点だ。