――実際にロースクールに通うようになってからはどんな生活だったのでしょう。
モナ ロースクールは通学が週4日あって、長い時は朝の9時から夕方6時半くらいまであります。朝は幼稚園の開始時間より早かったのですが「すいません早めに連れて行かせてください」とお願いして、預けてロースクールに直行。それでも授業を受けている最中に幼稚園や小学校から「熱が出ました」とか「喧嘩でぶたれちゃって」という連絡が来て急遽迎えにいくこともしょっちゅうありました。
――そんな状況で、司法試験の勉強時間を捻出することはできるんですか?
モナ やっぱり子どもたちが起きている時間は、勉強になりません。3人いるから、もう家の中がドタバタで、教科書を開いても文字を追っているだけで全然集中できないんです。それなら子どもが起きているうちは子どもに集中して、勉強は子どもを寝かしつけた後とか、お稽古ごとのお迎えで車中で待っている1時間とか、そういう時間をつなぎ合わせていました。
――寝かせた後となると夜遅くですよね。
モナ 夜は一緒に晩ごはんを食べて、お風呂に入って、子どもたちが眠るのは早くても午後10時くらい。それから部屋の片付けをしたり食器や服の洗い物をして、11時とかから勉強を始めることが多かったですね。
学生に対して「ずるい」という感情になることも
――翌朝も早いと思うのですが、そこから何時まで勉強するのですか?
モナ はじめのころは時間を決めずに寝落ちするまでやったんですけど、そうしたら次の日に使い物にならなくなってしまって。それだと本末転倒なので、深夜1時から6時までは睡眠時間として死守して、それまで集中する感じでしたね。
――そこまでやっても1年目、2年目の試験では不合格になっています。どんな気持ちになるものなのでしょう。
モナ 私としては2年間本当に全力で空いた時間のすべてをつぎ込んで、それでも落ちました。手を抜いてしまった自覚があれば「もっと頑張ればよかった」と後悔できるんでしょうけど、私は「もうこれ以上どうしようもない」という感覚だったのでそのぶん余計に辛さが大きかったです。
――本当にいつか合格できるのか、と不安になったり?
モナ 私が通っていた早稲田のロースクールだと、受かる人は半分以上が1回めで受かって、2回も落ちる人はかなり少ないんです。なので2年目にダメだった時は、もう一生受からないんじゃないかと不安でたまらなくなりました。学生たちに対して「ずるい」という感情になったりすることもありました。
――ずるい?
モナ 毎年大学を卒業したての20代前半の学生が司法試験に参入してきて、鬼のように勉強して合格していきます。もちろん彼らが勉強したことも能力だって高いのはわかります。でも彼らは実家でご飯が3回出てきたりするわけじゃないですか。逆に私は3人の子どもに3回ご飯を出さなきゃいけなくて、あまりにも不利じゃないかという気持ちになりそうになったりしていました。

