11月、司法試験合格をSNSで発表した山本モナさん。

 35歳で芸能界を引退し、36歳で長女を出産。その後3人のお子さんを育てながら46歳の時に早稲田大学のロースクールに入学し、49歳にして3度目の試験で見事に難関試験を突破した。

 芸能界引退のきっかけになった夫へのうらやましさ、3人の子育て、「母」「妻」という立場以外の自分が消えていく不安……。たてつづけにやってきた人生の決断についてモナさんに話を聞いた。

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山本モナさん ©文藝春秋 撮影・佐藤亘

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――司法試験を受ける道を選んだのは、何かきっかけがあったんですか。

山本モナさん(以下、モナ) 親戚にヤメ検の弁護士がいて、そのおじさんがお正月とか親戚の集まりの時に飲んだ勢いで「司法試験なんていうのは誰でも受かるんだよ」とよく言ってたんです。「毎日8時間、3年やれば誰でも受かる。そういう試験だ」と。

――子供のころから話を聞いていたんですね。

モナ 子供心に「やればできるんだ」みたいな印象を持っていたのはあるかもしれません。

 うちは祖父と母が新聞社員だったこともあって最初の進路はメディアに引っ張られましたが、二択のもう1つが弁護士だったように思います。

夫に話したときの反応は…?

――とはいえロースクールに入学された時点で、3人めのお子さんは2歳でまだまだ手がかかる年齢でしたよね。

モナ なので最初は通学の負担が大きいロースクールではなくて、予備試験を受けようと思っていました。でもロースクール経由と比べて予備試験は難易度があまりにも高くて、ロースクールに通ってしまったほうが結果的に近道になりそうだな、と決心しました。

 

――ロースクールに行きたい、と夫の方に話した反応はどうでしたか?

モナ 幼稚園や習い事の送り迎えに影響が出るかもしれない、と伝えたら「うん」と。「協力できるところは協力するから、やってみたらいいんじゃない」と言ってくれました。

――楽しそうに仕事をする夫への嫉妬のような感情は伝えたんですか?

モナ それは言えなかったですね。ただ「あなたはいいね」というのは折に触れて伝えていたので、私の気持ちはある程度伝わっていたと思います。私が家事や子育てを引き受けることで彼が仕事に没頭できていたことはわかってくれていたはず。あとは私が、何か言ってもやめる人じゃないこともわかってたでしょうし。