――確かにフラットな競争ではないですよね。

モナ しかも、学生さんたちが本当に優しいんです……。私は実は人見知りで、年齢も違うから積極的に話しかけられなくていつも1人でコンビニのおにぎりを食べながら勉強してたんですけど、同じクラスの子が話しかけてきてくれて。「クラス会やるのでLINE登録しませんか」と。

――向こうから。

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モナ そうなんです。子どももいるからなかなか飲み会とかも参加できなかったんですけど、「モナさんに合わせるから」と言ってくれて、たまには一緒に話せたり。まぁみんなが大隈講堂の前で屋外で「隈飲み」してるのには、さすがに厳しいなと思って参加できませんでしたけど(笑)。

 

完全に“病んだ食事”だとは思うんですけど…

――そんな同級生たちを2回見送ったあと、3回目の試験はどうでしたか。

モナ ロースクールの先生から「勉強に喜怒哀楽を持ち込むな」という個別のアドバイスをいただいて、その言葉を肝に銘じてとにかく平常心で行こうと思っていました。なので食べ物、飲み物、それを置く位置までいつもと同じにしていました。

――毎日どんな食事だったんですか?

モナ 朝はファミリーマートの三角の昆布おにぎりを食べて血糖値を上げる。お昼休みに丸いツナマヨおにぎりを食べて頭を回す。その合間に将棋の棋士さんが食べているようなブドウ糖90%のラムネを口に放り込んで、机にはペットボトルの水とブラックコーヒー。

――平常心……ですか?

モナ たしかに、完全に“病んだ食事”だとは思うんですけど、それを平常心だと思い込んで揺れないようにしていました。試験当日も全く同じメニューでしたね。

――試験の合否はどのように伝えられるのですか。

モナ 7月に試験があって、今年は11月12日が発表日でした。午後4時に法務省の司法試験のサイトに合格者の番号が掲載されて、その中に自分の受験番号があれば合格です。その日は落ち着かなくて、自宅のリビングで4時前から無表情で更新ボタンを連打していました。

 

――自分の番号を見たときのお気持ちは。

モナ 嬉しいというよりも、ほっとした、安心したという感じです。落ちたらその日じゅうにあの人に連絡しなきゃ、すごく落ち込むだろうから家じゃなくてあのお店へ行こう……っていやな想像ばっかりしていたので。

――最初の報告はやはりご家族ですか?。

モナ しばらく噛み締めて、実は夫よりも先にお世話になった弁護士の先生に電話しました。ずっと感情を殺していたんですけど、電話口からその声が聞こえた時に、急に涙が出ましたね。