もし暴力的な家庭にいるなら、外に助けを求めてほしい

――シャオリーは13歳の設定ですか?

スー・チー 12歳です。

――では、今の12歳の女の子に、スー・チーさんから伝えたいことはありますか? 彼女たちがこの映画を見に来てくれるといいのですが。

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スー・チー 私たちの時代と比べてはなんですが、今の子供たちは高校か大学を卒業するまではかなり母親から家で守られて育っていると思います。そういった子たちに伝えたいのは、今ある幸せを大事にしてほしい、ということですね。しかし、そうではない子もいるでしょう。もしあなたが今、この映画のように複雑で暴力的な家庭にいるのであれば、必ず外へ助けを求めてほしい。ぜひそれを伝えたいと思います。

東京フィルメックスのQ&A

 とても力強い言葉で、インタビューを締め括ってくれたスー・チー監督。フィルメックスでの上映後、今後も監督業を続けていくのか、との観客からの質問には、「ホウ・シャオシェン監督がいなければ、この作品は存在しなかったでしょう。実際、映画監督というのは大変で、葛藤が多く、理性と感性を同時に持ち合わせなければいけない仕事です。今まで経験した撮影現場では、私は監督にとても落ち着いて接していただいてきましたが、いざ自分で監督をしてみると、爆発しそうなことがたくさんありました。キャストの前では落ち着いて接しつつ、現場のコントロールも困難が多い。監督の仕事は複雑です。もし監督として次回作を撮るなら、もっと慎重にテーマを選びたいですね。今後もメインは女優業のつもりです」と語った。演じる姿も見たいが、映画も魅力的なので、ぜひ監督としての次回作も期待したい。

 

スー・チー(舒淇) 1976年生まれ。香港映画『夢翔る人/色情男女』(1996)で脚光を浴び、香港電影金像奨を3度、台湾金馬奨を2度受賞。ホウ・シャオシェン監督とは『ミレニアム・マンボ』(2001)、『百年恋歌』(2005)、『黒衣の刺客』(2015)でタッグを組んだ。『トランスポーター』(2002)など世界的に活躍し、ベルリン、カンヌ、ヴェネツィアの三大映画祭の審査員も務める。最新出演作は『レザレクション』(仮題/2026年日本公開予定)。

『女の子』

監督:スー・チー/出演:バイ・シャオイン、9m88、ロイ・チウ/2025年/台湾/125分/公開未定

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