11月に開催された第26回東京フィルメックスで、国際的に活躍する女優スー・チーの初監督作『女の子』(原題:女孩)が日本初上映された。自身の幼少期の記憶を下敷きにした作品という本作は国際的に高い評価を獲得。映画祭に来日した彼女に単独インタビューを行った。
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『女の子』あらすじ
シャオリー(バイ・シャオイン)は12歳の内向的な少女だった。事業に失敗し酒とギャンブルに逃避する父(ロイ・チウ)の暴力に怯え、借金を返すために身を粉にして働く母(9m88)は妹に甘く、シャオリーに厳しかった。気持ちの沈む毎日に光をもたらしたのは、明るい転校生リリーと親友になったことだった。奔放なリリーは夜の遊びにシャオリーを連れ出すが……。
『女の子』は1980年代終わりの台湾・基隆を舞台に、父と母に虐待され、よるべない気持ちを抱える12歳の少女シャオリーが、大人びた転校生リリーとの交流などを通じて、ささやかな希望を見出していくという物語。自らの経験から着想した作品であり、10年以上かけて脚本を書き、スー・チー自身は出演せずカメラの裏側に専念した。辛い現実だけでなく、青春の入り口にいる少女のきらめきを感じさせる美しい作品だ。彼女の師と言えるホウ・シャオシェン(侯孝賢)をはじめとする台湾ニューシネマの影響も感じさせる、見事な監督デビューとなった。同作は今年のヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、釜山国際映画祭では監督賞を受賞するなど高い評価を受けている。
ホウ・シャオシェンのアドバイス
――釜山国際映画祭での監督賞、おめでとうございます。スクリーンで見るべき、素晴らしい映画だと思いました。まず、この映画を作ろうと思われたきっかけを教えてください。

